2019年8月1日に横浜拘置支所に相模原障害者殺傷事件の植松聖被告の接見に行った。ものすごく暑い日だった。この拘置所は居房に冷房がないので、面会の冒頭はその暑さ対策の話になった。それは後述することにして、事件に関わる新たな動きを書いておこう。まだマスコミが報じていないので、植松被告が知ったのもごく最近なのかもしれない。

 殺害された19人の犠牲者遺族の一人が、植松被告を相手取り、賠償請求の民事訴訟を起こしたというのだ。刑事裁判が来年1月から始まるので、恐らくそちらが優先され、民事訴訟の進行はその後になるのだろうが、遺族からのこういう具体的動きはこれが初めてだと思う。

 植松被告が接見の時にそう語ったもので、提訴した側にも裁判所にも確認は取っていないが、話が具体的だし、間違いはないと思う。本人の説明によると、請求額は4400万円。内訳は犠牲者への賠償が3000万円、家族に1000万円、そして残りは裁判や弁護の費用だという。

中略

その日の植松被告との接見では、そのほか京都アニメーションの悲惨な事件などについて話が及んだ。

 「恐ろしい事件ですよね。ああいう犯人を世に出しておいてはいけない」

 植松被告はそう言った。京アニ事件直後の手紙でも彼は同じ感想を書いていた。

 相模原事件も相当凄惨な事件だったと思うが、彼は他の凄惨な事件、例えば外国で起こる大量殺傷事件などについても「恐ろしい事件だと思います」と感想を述べる。他の事件についてはごく常識的な感想で、それと自分自身の事件がどういう違いとして彼の頭の中で整理されているのか。本人に聞くと自分の事件は全く違う、というのだが、世間はそう考えていないわけで、私はいつも不思議に思っている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20190802-00136840/