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NY商品、原油が続伸 OPEC減産拡大の期待で 金は6年4カ月ぶり高値
2019年8月13日 5:01



【NQNニューヨーク=古江敦子】12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場が3日続伸した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の9月物は前週末比0.43ドル高の1バレル54.93ドルで終えた。主要産油国が一段の減産に動き、原油価格を押し上げるとの観測から買いが続いた。

サウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコは12日、2019年1〜6月期の純利益が前年同期比11%減ったと発表した。同社の決算発表は初めて。来年初めに計画する株式公開を前に透明性を高める狙いという。ただ、原油安が減益の理由だったため「上場前に収益を高める必要があり、サウジ主導で石油輸出国機構(OPEC)が減産幅を拡大する可能性が高い」(クリッパー・データのマット・スミス氏)との見方が強まった。

ただ、上値は重かった。米中対立の激化で世界景気が減速し、原油需要が伸び悩むとの懸念が売りを誘った。米株式相場の大幅下落で投資家心理が悪化し、同じリスク資産に位置付けられる原油の上値を抑えた面もあった。

金先物相場は3営業日ぶりに反発した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で、取引の中心である12月物は前週末比8.7ドル高の1トロイオンス1517.2ドルで終えた。通常取引後の時間外では一時1531.5ドルと、中心限月として13年4月以来6年4カ月ぶりの高値を更新した。

12日は米中摩擦の不透明感に加え、香港国際空港で続く抗議活動を背景に投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方が強まった。米株安を受け、現物資産の裏付けがあり、リスク回避時に買われやすい金先物に資金が流入した。米長期金利が低下し、金利が付かない金先物への投資妙味が増した面もあった。