「(小説を)パクりやがって」。警察官に取り押さえられた後、まだ意識があった青葉容疑者は周囲にそう叫んだという。

京アニは2009年から京都アニメーション大賞を設け、アニメ化や文庫化を前提に小説やシナリオを公募してきた。当初、京アニ側は青葉容疑者からの応募を「確認されていない」としていたが、さいたま市見沼区の住所が報道され再確認したところ、同姓同名の人物からの応募があった。

 京都府警は青葉容疑者自身が書いた小説を応募したとみて、京アニ側から作品を入手。捜査関係者によると、小説はストーリーを伴い、「ちゃんとした小説になっている」という。

 一方、京アニの代理人弁護士は形式面で1次審査を通過しなかったとし、「これまで制作された作品との間に類似の点はないと確信している」としている。

 青葉容疑者の京アニへの関心の高さは府警の家宅捜索でも裏付けられた。アニメ「響け!ユーフォニアム」の色紙のほか、関連書籍、映画のパンフレットなど京アニの関連商品を複数、押収した。事件3日前に京都入りした後の足取りの捜査でも、青葉容疑者が「響け!」の舞台となり、ファンの間で「聖地」とされる京都府宇治市や京都市伏見区のゆかりの地を歩いていた。

 ただ、京アニへの関心は、どこで襲撃事件に至る執着へと切り替わったのか。謎に包まれている。

 府警が着目するのがネット掲示板への書き込みだ。

 昨年9〜11月、「小説をパクられた」「最初から原稿を叩(たた)き落とし裏切る気だった」「絶対に許さん」「爆発物もって京アニ突っ込む」「無差別テロ」などと京アニを名指しし、一方的に恨みを募らせた書き込みが断続的に続いた。府警は青葉容疑者の自宅から押収したタブレットやスマホなどの解析を進めるが、誰が書き込んだのかまだ特定はされていない。

 ただ、捜査関係者の一人は「書き込みには青葉容疑者しか知らないことが含まれている」と関心を寄せる。書き込みをたどると、応募した小説が審査で落とされ、京アニへの恨みを増幅させていった姿が浮かぶ。だが、なぜ「小説を盗まれた」とまで思うに至ったのか。

全文
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/16945569/