魚が作る模様の多様性や目的などを、最新の研究成果を交え紹介する企画展が、千葉県勝浦市の県立中央博物館分館「海の博物館」で開かれている。「フグのミステリーサークル」とも呼ばれる円形幾何学模様の構造物を3Dプリンターで実物大に再現した立体模型を展示するなど、興味深い内容となっている。

 「ミステリーサークル」と呼ばれているのは、アマミホシゾラフグのオスが、メスを呼び込むために海底に作ったという円形幾何学模様の構造物。直径は約2メートルもあり、円の中心部でメスが産卵するという。

 立体模型は、大阪大学大学院基礎工学研究科と同博物館の共同研究で作製したもので、今回が初公開。海底の実物を様々な角度から4Kビデオカメラで撮影してデジタルデータ化し、大型3Dプリンターを使い精密に再現した。展示室では、フグが構造物を作る様子を撮影した動画とともに紹介されている。

 企画展ではこのほかに、成長段階や性転換などによって模様が変わる魚として、アゴハゼ、カゴカキダイの生体や、ベラ類の雌雄の写真、タテジマキンチャクダイの標本が展示されている。また、成長や誇示行動によって魚の形が変わる魚として、シラコダイの幼生の拡大模型とウチワフグの標本が展示されている。

 同博物館の主任上席研究員、川瀬裕司さん(53)は、「アマミホシゾラフグは奄美大島の沿岸の海で最近発見された新種。ミステリーサークルの大きさと精巧さを観察してほしい」と話している。

 企画展は9月16日まで。入場料は一般200円、高校・大学生100円、中学生以下と65歳以上は無料。月曜休館(月曜が祝日、休日の場合は翌日)。9月15日午後1時からは、川瀬さんがスライドやビデオ映像を用いた講座「魚がつくる模様と形」がある。定員は20人で事前の申し込みが必要。問い合わせは同博物館

https://www.yomiuri.co.jp/science/20190819-OYT1T50277/
https://m.youtube.com/watch?v=wAgjm4ailJM