金丸謙一館山市長が、屋形船のオープニングイベントで、暴力団組員に「ご祝儀」名目で五千円を支出していた問題は、反社会的勢力を事前に把握することの難しさを浮き彫りにした。屋形船事業の関係者からは、細心のチェックは欠かせないとの声も聞かれた。

 二十日の臨時会見での金丸市長らの説明によると、四月上旬、組員の妻が市秘書広報課を訪れ、口頭で市長のイベント出席を求めた。市側は初めて接する人物だったため、開催日時や場所、イベントの目的などを記載した文書の提出を依頼。後日、再訪した妻から「出席依頼申請書」を受け取った。市は観光振興に役立つ事業と判断し、金丸市長の出席を決定した。

 船は全長二十メートル、幅五メートルの八十八人乗りで、隅田川の中古屋形船を買い取り、全面改装した。

 イベント当日、金丸市長は船内の上座へ通され、組員と妻に向かい合って着座。組員から「館山を元気にするためにやっています」と言われ、金丸市長は「観光の目玉になればいいですね」と述べたという。

 今回、国が船の運航を許可、県も桟橋使用を許可していたため、気づくことができなかったという。市は今後、新しい団体や個人からの案内については、登記簿や業績などで確認し、慎重に判断する再発防止策を明らかにした。

 東京都内の約四十の屋形船業者でつくる「屋形船東京都協同組合」(事務局・台東区柳橋)によると、都内の河川では代々、決まった屋形船業者による利用が認められており、新規参入はほとんどないという。担当者は「仮に新規の申し込みがあった場合は、理事会の決済などが必要になる」とハードルを設けていることを強調した。 (山田雄一郎)

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