安倍晋三首相は日米貿易交渉で、トランプ米大統領に米国産トウモロコシの追加購入を約束した。日本が年間に輸入する飼料用トウモロコシの「三カ月分」(西村康稔官房副長官)に上る約二百七十五万トンに達する見通し。首相は理由に害虫被害を挙げるが、国内生産量の六割に被害が及んで釣り合いが取れる計算で、現実的でない。さらに被害を受ける国内のトウモロコシは追加購入するものと種類が異なり単純に代替できない。輸入を無理に増やすため補助金投入が膨らむおそれがある。

 「中国が約束を守らないから、米国ではトウモロコシが余っている。その全てを日本が買ってくれ、農家はとても幸せだ」

 トランプ氏は二十五日、仏ビアリッツでの日米首脳会談で語った。安倍首相は「日本では害虫被害に悩まされており、民間に追加購入需要がある」と応じた。

 農林水産省によると、害虫被害とは、「ツマジロクサヨトウ」というガの幼虫による食害を指す。七月三日に国内で初めて鹿児島県内で確認されて以来、九県五十二市町村で飼料用トウモロコシの葉が食べられる被害が出ている。

 ただ、被害はそれほど広がっていない。飼料用トウモロコシは年間約千百万トンを米国などから輸入。国内では約四百五十万トンを生産しているが、食害はごく一部で発生が確認されているだけ。農水省は「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)としており、米国に約束した二百七十五万トンは必要量に比べ過大になる公算がある。

 また、食害は葉や茎も砕いて飼料にするトウモロコシで起きており、米国から追加購入する実を用いるトウモロコシとは栄養価などが異なる。鈴木宣弘・東京大教授(農業経済学)は「家畜の健康維持には二つを区別しバランスよく与えねばならない」と指摘。仮に被害が拡大しても米国産では単純に代替できない。

 安倍首相は会談でトランプ氏に追加購入のため「民間企業を緊急支援する」と表明。飼料メーカーや商社の購入を税金を基にした補助金で支える方針とみられる。購入を無理に増やすために多額の補助金投入を迫られる可能性がある。 (皆川剛)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082702000138.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/images/PK2019082702100075_size0.jpg

参考ソース
日米首脳が25日の会談で合意した米国産トウモロコシの日本による大量輸入について、菅義偉官房長官は27日午前の閣議後会見で「(日本国内で)飼料用のトウモロコシの供給が不足する可能性がある。このことが首脳会談で話題になった」と述べた。

日本が購入で合意したトウモロコシは家畜飼料用。菅氏らによると、7月からガの幼虫がトウモロコシを食い荒らす被害が、九州を中心に11県で広がっており、全国的に拡大する可能性があるという。農林水産省は8日、海外のトウモロコシの前倒し購入を支援することを決めていた。今回の日米間の合意により、日本の飼料用トウモロコシの年間輸入量の3カ月分にあたる約250トンを民間企業が追加輸入する。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190827-00000038-asahi-pol
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