子宮頸がんワクチン知って 勧奨中止6年、自治体危機感
産経 2019.8.30 00:02
http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/190830/lif19083000200001-n1.html

https://www.sankei.com/images/news/190830/lif1908300002-p1.jpg

 子宮頸(けい)がんを予防する「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」について国の積極的な勧奨中止が続く中、ワクチン接種の存在すら知らない人も増え、将来的に患者が増えかねないという危機感が自治体で高まっている。HPVワクチン接種は公費で賄われる「定期接種」で、国は接種を進めたいのか進めたくないのか、態度が煮え切らない。一部自治体では事態打開のため、家庭に定期接種であることを通知する独自の動きも進んでいる。

 子宮頸がんは性交渉による感染が原因で女性が罹患(りかん)する。HPVワクチンは性交渉を始める前段階の接種で、より予防効果が期待できるとされ、国は平成22年度に公費助成を始め、25年4月には小学6年〜高校1年相当の女子を対象に計3回行える定期接種とした。

 しかし、ワクチン接種者から体の痛みなどの「健康被害報告」が相次いだことから、同年6月には接種の積極的な勧奨を中止。健康被害との因果関係が認められていないため、定期接種という位置付けは変えていないが、実際に接種を行う現場の多くの自治体で、住民への案内を取りやめるなどの対応が続いている。

 これに対し、勧奨中止から6年が過ぎた今年7月、千葉県いすみ市が高1女子がいる保護者向けに独自の通知を発送。定期接種の対象であることや、年度内に3回の接種を終えるには、1回目を9月30日までに行う必要があると伝えた。他にも青森県八戸市は今年度、小6〜高1女子がいる世帯に定期接種を知らせる文書などを配布。県レベルでも、岡山県がワクチンの有効性やリスクなどが書かれたリーフレットを学校を通じ、定期接種対象者らへ届ける意向を示す。


 背景にあるのは子宮頸がんに対する認識が薄くなることへの危機感。いすみ市は「接種の機会があるのを知らずに、時期を逃してしまうケースも考えられる」と説明する。

 勧奨中止後も接種案内を続ける自治体もあり、兵庫県姫路市では昨年度、147人が接種したという。厚生労働省は「自治体の判断」と静観姿勢だが、自治体側からは「接種をどうしていくか国は指針を示すべきだ」との声が出ている。


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HPVウイルスによるがんの92%、ワクチン接種で予防可能 米CDC
AFP 2019年8月23日 11:53
https://www.afpbb.com/articles/-/3241034

HPVとがんの研究を行う米メリーランド州の実験施設で(2018年2月7日撮影、資料写真)。(c)SAUL LOEB / AFP
https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/7/9/-/img_798c195b566df7575494ddfd997c4b5b141290.jpg

【8月23日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は22日、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって発症するがんの約92%は、HPVワクチンの接種によって予防可能だと発表した。CDCは、HPVワクチンの接種率を向上させることが重要な優先事項だと訴えている。

 CDCの最新報告によると、2012年から2016年の間にHPVが原因で発症したと推定されるがんは、年平均約3万4800例だった。このうち年間3万2100例以上のがんを未然に防げた可能性がある。

 HPVによるがんは男女ともに発症し、発症部位は女性器の外陰部や膣(ちつ)、子宮頸部(けいぶ)、男性器の陰茎の他、肛門、中咽頭などに及ぶ。

 米保健省のブレット・ジロワー(Brett Giroir)次官補は、「HPVによるがんを撲滅した未来は手の届くところにあるが、予防接種率を向上させるために今すぐ行動しなければならない」と述べた。

 CDCでは、11〜12歳に達した全ての子どもに対し、ウイルスに感染する機会にさらされる前にHPVのワクチンを接種することを推奨している。

 しかし新たな統計によると、13〜17歳の予防接種率はほとんど増加していない。CDCの報告はさらに、HPVのワクチン接種は通常26歳以上には推奨されていないが、27〜45歳の間で接種を受けたことがなく感染リスクがある場合は、接種の効果を得られる可能性もあるため、医師と相談することを勧めている。

 報告ではさらに、HPVワクチンの接種は子宮頸がんの予防に重要な役割を果たしていると述べ、21〜29歳の女性に対しては3年に1度、細胞診検査(パップテスト)を受けるよう促している。さらに「21歳以上の女性でパップテストの結果が不明瞭な場合、HPV検査を受ければ追加情報が得られる」としている。(c)AFP