接種する人が大幅に減少している子宮頸がんワクチンについて、厚生労働省が意識調査を行った結果、4割以上の人は「わからないことが多く、接種を決めかねている」と回答したことが分かりました。
厚生労働省はワクチンに関する情報の提供が十分でないとして対策を検討することにしています。

子宮頸がんワクチンは6年前、公費で受けられる定期接種に追加されましたが、接種のあとに体の痛みなどを訴える女性が相次ぎ、厚生労働省はわずか2か月で積極的な接種の呼びかけを中止しました。

最大で70%以上あった接種率は、2年前の時点で1%未満まで減少しました。

こうした中、厚生労働省が接種の対象者やその家族など200人余りに、ワクチンに対する意識調査を実施したところ、「わからないことが多いため、接種を決めかねている」と答えた人が41.3%に上りました。

このほか、「接種をしたいと思っているが、まだしていない」という人が17.4%、「今は接種したいと思っていないが、今後検討したい」が11.9%、「接種したいと思っておらず、今後もする予定はない」が8.5%でした。

また、厚生労働省が去年、ワクチンの期待される効果や副反応の件数などをまとめたリーフレットを作成しましたが、これについて全国の男女2400人に聞いたところ、「見たことはない」と答えた人が86.3%に上りました。

さらに、全国の自治体にリーフレットを周知しているか尋ねたところ、70%以上がホームページの掲載や配布は行っていないと回答し、自治体による周知も進んでいないことが分かりました。

厚生労働省は、ワクチンに関する国や自治体の情報提供が十分でなく、接種するかどうか判断できない人が多いとして、今後、情報提供の在り方を見直すことにしています。


厚労省 接種後の副作用などHPで公開

子宮頸がんワクチンは6年前、小学6年生から高校1年生までの女性を対象に、公費で受けられる定期接種に加わりました。

しかし、直後から体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、厚生労働省はわずか2か月で積極的な接種の呼びかけを中止する異例の措置を取りました。

最大で70%以上あった接種率は、平成29年度には1%未満に減りました。接種後の副反応について専門家による研究班が原因を調査し、厚生労働省は去年、その結果などをホームページで公開しました。

それによりますと、ワクチンを接種すれば10万人当たりで最大209人が子宮頸がんで死亡するのを防ぐ効果が期待されるとしています。

その一方で、おととし8月までに副反応が出た疑いのある人が、3130人報告され、まれに呼吸困難やじんましんなどの重いアレルギー症状や、手足に力が入りにくいなどの症状も見られたということです。

一部の症状について厚生労働省は、ワクチンを打った時の痛みや不安などがきっかけで症状が起きたことは否定できないなどとしています。

そのうえで、対象となる女性はワクチンの効果と接種後に起こりうる症状をよく確認したうえで、接種するかどうか検討してほしいと呼びかけてきました。

しかし、今回の調査ではこうした、国が提供する情報が十分に伝わっていないという実態が浮き彫りとなりました。


「学習障害や記憶障害などのリスクも周知すべき」

厚生労働省が、子宮頸がんワクチンの意識調査を公表したことを受けて、ワクチンの接種によって健康被害が生じたとして国などを相手に裁判を起こしている原告団が30日、会見を開きました。

この中で、水口真寿美弁護士は「厚生労働省が提供している情報は、副反応の一部しか紹介しておらず、学習障害や記憶障害などを起こすリスクがあることも周知すべきだ」と訴えました。

NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190831/k10012057921000.html