2019.9.1 14:32
https://www.sankei.com/world/news/190901/wor1909010013-n1.html


【ボストン=上塚真由】毎年開かれる性的少数者(LGBT)のパレードに対抗し、異性愛者のための行進「ストレートパレード」が8月31日、米ボストンで行われ、トランプ大統領の支持者を中心に約200人が参加した。開催をめぐってはLGBTを侮辱する「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」と非難が殺到。多数の警察官が厳重な警備体制を敷く中、パレードの参加者をはるかに上回る数千人の抗議者が詰めかけた。

 異性愛者のためのパレードを主催したのは、今年初めに設立された「スーパー・ハッピー・ファン・アメリカ」という団体。団体は設立の目的を「異性愛者の社会のため尊敬や結束、平等、尊厳を確立することを提唱する」と説明し、LGBTの権利が拡大する中、「異性愛者は虐げられている多数派だ」と訴える。

 パレードはボストン中心部で正午から始まり、トランプ氏再選を支持し、同氏の発言である「壁を作れば、犯罪が減る」などのメッセージが貼り付けられた宣伝車が先導。参加者は「異性愛者であることはすばらしい」「正常を再び」などと書かれたプラカードを持って練り歩いた。危険な極右思想を掲げたとしてフェイスブックのアカウントを閉鎖された同性愛者の編集者、マイロ・ヤノプルス氏がパレードの旗振り役として参加した。

 パレードが進むと、数千人の抗議者が沿道で「ナチは去れ!」「恥を知れ!」「ボストンはあなたを嫌っている」などと罵倒。一部の抗議者が暴徒化し、警察官が催涙スプレーをかけて鎮圧する場面もあり、地元紙によるとこの日、数人が拘束されたという。

 沿道からパレードに抗議した高校教師のホイットニー・ニールセンさん(33)は、「私は異性愛者として攻撃されたこともないし、差別されたことはない。なぜパレードが必要なのか。ばかげている。彼らは、とっぴな行動で注目を集めて社会の憎悪をあおりたいだけだ」と話した。

 一方、他州からもパレードに参加した人は多く、ニューヨーク州に住むトランプ氏支持者のナディーン・コーエンさん(49)は「LGBTであることは米社会で特権のようになっている。反対に私たちは自由に発言できなくなり、居場所がなくなっている」と語った。パレード後の集会も抗議者が取り囲み、「帰れ」と連呼。

 主催団体の代表、ジョン・ヒューゴ氏(56)は「異性愛者のパレードを許さないのは平等ではない。リベラルでないと拒絶される社会が問題だ」とし、「来年もパレードを続けたい」と語った。