大来皇女と壬申の乱に関する資料が200点並ぶ企画展のポスター=松阪市役所で
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 明和町の県立斎宮歴史博物館で、開館三十周年と斎宮跡の史跡指定四十周年を記念した企画展「大来皇女(おおくのひめみこ)と壬申の乱」(中日新聞社など後援)が十月五日から開かれる。学芸員の岸田早苗さん(56)は「実在が明らかな初代斎王と壬申の乱に関わる実物の資料がたくさん並ぶ」と来場を呼び掛けている。十一月十日まで。

 大来皇女は壬申の乱に勝利した父、天武天皇によって伊勢神宮に遣わされた実質的な最初の「斎王」。日本書紀にその経緯が記述されている他、万葉集や七世紀後半の木簡にも名が記されており、実在が明らかとされている。企画展では大来皇女や壬申の乱にまつわる国宝二点や重要文化財四点を含めた二百点が並ぶ。

 国宝二点はいずれも県内では初公開。「文禰麻呂(ふみのねまろ)墓出土品墓誌・銅箱」(所蔵・東京国立博物館)は、壬申の乱で活躍した役人、文禰麻呂の功績などが記された銅版の墓誌と、それが収められていた銅箱。墓誌に亡くなった年が「慶雲四年」とあり、遺体が火葬されるようになってからの墓で見つかった墓誌としては最古のものという。

 もう一つは「崇福寺跡塔心礎納置 舎利容器及び供養具」(近江神宮)で、つぼのような形をした飛鳥時代の舎利容器などを紹介。重文では「縄生廃寺出土舎利容器」(文化庁)や「木造伝大津皇子坐像」(薬師寺)がある。

 斎宮跡では昨年、これまでで最も古い飛鳥時代の宮殿跡が見つかり、大来皇女の宮殿の可能性もあるという。斎宮成立の過程を解明する上で貴重な遺跡とされ、展示でも宮殿跡の解説パネルや、出土した飛鳥時代の土器を並べる。

 天武天皇の妻、持統天皇を主人公にした里中満智子さんの漫画「天上の虹」で描かれた大来皇女や斎宮の複製原画も展示。十月二十日、里中さんが「東雲の時代の女性たち〜大和・出雲・そして斎宮〜」と題し記念講演する。九月十日から十月一日まで講演の参加者を募集する。一般四百円、大学生二百六十円、高校生以下は無料。(清水悠莉子)

中日新聞 2019年9月8日
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