台風15号によって広い範囲で住宅が被害を受けた千葉県で、屋根をシートで覆うなどの作業中にあやまって転落する事故が少なくとも26件相次いでいることがわかりました。専門家は「自分でシートを張るのはやめて専門の業者が来るのを待ってほしい」と呼びかけています。

千葉県では雨の予報を受けて屋根をシートで覆ったり瓦を修理したりする作業が急ピッチで進められていますが、工事業者に依頼しても数か月待ちという地域も多く、やむをえず住民やボランティアだけで行っているケースがあります。

NHKが住宅の被害が大きかった地域の消防に取材したところ、こうした作業のために屋根に上り転落して救急搬送されたケースが、台風が接近した今月8日の夜以降、15日午後4時半までに少なくとも10の市と町で26件相次いでいることがわかりました。

市町別ではもっとも多かったのが市原市で7件、次いで袖ケ浦市と南房総市がそれぞれ5件、木更津市と鋸南町でそれぞれ2件などとなっています。

このうち袖ケ浦市では1人が頭を打つなどして意識不明の重体となっています。また千葉市では多数の救急搬送があったものの件数は把握できていないということです。

15日昼前に千葉県南房総市加茂で発生した転落事故では67歳の男性が自宅の屋根を修理しようと1人で屋根に上っていたということで、男性は意識はあるもののけがをしているということです。

近所に住む79歳の男性は「大工も足りず、お年寄りしかいない世帯はどうしたらいいか分からない」と話していました。

被災地支援の専門家でNPO法人代表理事の中島武志さんは「プロでも転落して亡くなることがあり、屋根の上での作業は危険が伴う。県内の業者がだめなら県外に問い合わせるなどして専門の業者が来るのを待ってほしい。それまでは部屋の中にシートを敷くなどして対応してほしい」と話していました。

2019年9月15日 18時30分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190915/k10012083501000.html
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