ケニアのマサイマラ国立保護区で、水玉模様をしたシマウマの子どもが発見された。

 撮影したのは写真家のフランク・リュウ氏。サイを探していて、このシマウマに遭遇したという。「一見すると、まるで別の動物のようでした」。生後1週間前後と思われるこのサバンナシマウマは、最初に発見したマサイ族のガイド、アントニー・ティラ氏によってティラと名付けられた。

 人の指紋と同様、シマウマのしま模様には個体差があるが、ティラのような配色がマサイマラで記録されたのは初めてかもしれないと、リュウ氏は述べている。ボツワナのオカバンゴ・デルタでは、よく似た配色の子どもが何度か確認されている。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物学者で、シマウマのしま模様の進化を研究しているレン・ラリソン氏によれば、ティラやオカバンゴの個体は「偽メラニズム(pseudomelanism)」という遺伝子変異を持つという。しま模様に何らかの異常が生じる珍しい突然変異だ。

 シマウマには局所的なアルビニズムなど、ほかの風変わりな配色も存在する。タンザニアのセレンゲティ国立公園では2019年2月、希少な「金髪」のシマウマが写真に収められた。

 科学界にとって、こうした異常を記録することは意味がある。種の変化や、集団がどう反応するかを追跡できるからだ。

しま模様の仕組み
 赤、黄、茶、黒の色素であるメラニンはメラノサイトという細胞で生成される。哺乳類の毛色や肌色はメラニンによって決まる。

 米ハドソンアルファ・バイオテクノロジー研究所の遺伝学者グレッグ・バーシュ氏は電子メールで取材に応じ、「メラニン合成を阻害する突然変異はいくつもあり、そうした疾患では例外なく、メラノサイトの分布は正常で、メラノサイトがつくり出すメラニンに異常があると考えられています」と説明した。

 シマウマの場合、メラノサイトは皮膚全体に分布しているため、体毛をそると、真っ黒な皮膚が現れる。ティラのような偽メラニズムのシマウマは、メラノサイトはほかの個体と同じように分布しているが、何らかの理由で、メラニンがしま模様を描き出さないと、バーシュ氏は考えている。

 カリフォルニア大学のラリソン氏は、風変わりな配色のシマウマは長生きできない可能性が高いため、ティラの未来は不確かだと指摘する。「ほかの種についての研究によると、群れの中にいるある個体を捕食者がねらうのは難しいが、特徴が異なる個体であれば容易だという結果が出ています」

「私はこの特殊な模様を持つ子どもの写真をいくつか見たことがありますが、より成長した子どもあるいは成体の写真は、1950年代に撮影された1枚しか知りません」(以下ソースで)

ソース ナショナルジオグラフィック
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190919-00010001-nknatiogeo-sctch
画像
https://amd.c.yimg.jp/im_siggEr.zFDsYY1Jt5Nneq6NiEA---x900-y600-q90-exp3h-pril/amd/20190919-00010001-nknatiogeo-000-2-view.jpg