この一件で、最も責任が重いのは、スナック(店舗)。

暴力を振るえば、結果として相手が死ぬこともあるだろう。
殺人罪かそれとも傷害罪かは、たまたまの偶然に拠るのであって、動機とは関係ない。
暴行に、殺す意図があったか、なかったは関係ない。
暴行との(濃い相当因果関係を以て)「結果として」相手が死ねば、殺人罪だ。
相手から先に暴行を受けたのなら、情状酌量や正当防衛の事由にはなるだろう。
ただ、業として飲酒を行う店舗の内部で、酒による酩酊を発端として殺人が起きたのなら、
店舗が喧嘩を制止しなかった責任が最も大きく、殺人罪に問われるのは、まずは店舗だろう。

傷害致死とは、無免許医療など相手の同意を得て傷害した結果として、
過失によって、「結果として」相手が死んだ場合に適用される。

本件は、傷害致死ではない。
被告人は暴行に際して相手の同意など全く得ていない。
相手の同意を得ていない暴行に対して適用されるのは、
傷害罪か殺人罪の二者択一のみだ。