△いいからさっさと変態記事のお詫びをする煮だ

▼「嫌韓」の裏に格差と陰謀論

「嫌韓」という排外主義が吹き荒れている。
少しでも冷静な議論をすれば「売国奴」などの罵声が飛んでくる。

背景にはアベノミクスにも責任がある格差がある。
人間が感じる不満は相対的なものだ。
客観的には中間層、あるいはやや上であっても、富裕層に恩恵が偏っていると感じれば不満は爆発する。

こんな時の政権の対応ははるか昔から同じだ。
一つは下に目を向けさせ「それよりはまし」と考えさせる。もう一つは外へ目を向けさせる。

◇ 国外にそらす

安倍政権もアベノミクスに足らざる点があることは認めている。
だが、安倍晋三首相は国会答弁ですぐにかっとなることに表れているように批判を受け止めることが苦手なようだ。

政治の役目はなによりもまず、批判者、少数者との対話にある。
しかし、安倍政権はすすんで自らの欠点を認め、国民と双方向の対話をすることがうまくできていない。

トランプ米大統領の例をあげるまでもなく、国民をうまく統合することができない政権の逃げ道はいつも不満を国外にそらすことだ。
対韓輸出規制はそういう機能を果たした。

◇ 今も昔も変わらぬ陰謀論

もう一つの特徴は陰謀論だ。
「中露に、あるいは中韓にあやつられている政党、新聞。自分だけが真実を知っている」
「各国政府はユダヤ人とコミンテルンに支配されている。自分だけが真実を知っている」

今も昔もポイントは、自分の知らないところで誰かが不当な利益を得ているという感覚だ。
この感覚自体は間違っていない。どのような体制であろうと不備はいつもあるからだ。

不満の先が間違っている。
責任は「ユダヤ人」にも「在日」にもない。

「ユダヤ人」は現実のユダヤ人とは関係がない。
なぜならば現実は常に複雑であり、日韓関係も含めて一方的に非難できるものなどないからだ。
そんな当たり前のことは、みんな日常生活でよくわかっている。

けれども、意識的に現実から目をそらさないと気持ちよく他者はののしれない。
だから陰謀論がセットでついてくる。

◇ 家族に言えることなのか

その証拠に罵声を書き込んでいるあなたは、それと同じことを自分の家庭、あるいは会社で言えるだろうか。
友人や家族と対立した時に「半島に帰れ」などと、面と向かって言えるだろうか。

自分の現実と無関係だと思っているから書き込めるのだ。
あなたが本当に嫌いなのは日本なのだろう。

昔の日本は良かった、今の日本は左翼に汚染されて堕落してしまった、というのもおきまりの文句だ。
あなたは現実の日本が受け入れられない。

格差を放置し、少数者に冷たい、個人に冷たい、そしてあなたにも冷たい、きっと誰かがずるをしていい思いをしているに違いない、今の日本を否定したい。
しかし、そうは口に出せない。

すぐに「おまえはどうなんだ」という罵倒が返ってくるからだ。
自己責任という理不尽な威圧が社会にのさばっている。

だから、代わりに韓国を持ち出すのだ。
決して自分に跳ね返ってくることがない韓国という的に罵声を投げつける心地よさが「嫌韓」だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190923-00000011-mai-pol