統一21

【「貯めていても漁業は復興しない」】

 「トリチウム水の問題。これが大問題です」

 講演の一番最後に、田中氏は原発事故に伴う汚染水の海洋放出問題について語った。韓国を例に挙げながら、海洋放出には何ら問題無いという持論を展開した。

 「トリチウム水というのは、世界中の原発から日常的に捨てられています。韓国でトリチウム水について国際問題にしていますが、
韓国には『CANDU』といって重水を使った原子炉が4基、加圧水型の原子炉が16基あります。月城原発はCANDU炉(重水炉)です。元々はカナダのものです。

一方、日本は軽水炉です。重水炉というのは、軽水炉と比べるとケタ違いのトリチウムが出ます。CANDU炉4基だけで福島原発の何倍ものトリチウムを捨てています。
自分のところで捨てていて、日本はどうだと言っている。捨てているから良いというわけでは無いけれども、なぜ日本政府は『あなたたちも捨ててるでしょ』ときちんと言及しないのか。
『トリチウムについていろいろ検討してます』と、こういう事を言っています」

 「どんな事をやったって、トリチウムはいずれ希釈廃棄。きちんと処理して海に捨てるしか無くなると思います。
これは私は予言、予言というか規制委員長の時からそう申し上げて、5年間言い続けているんですが、いまだにこね回しています。でも、いずれそう(海洋放出)なります。
国も、漁民の方ときちんと向き合ってその事を話すべきだと思います。そこに向き合わない限り、漁業の復興にはなりません。

トリチウムを捨てないで貯めておけば漁業を復興出来るというのは私は間違いだと思います。そういう議論をきちんとしないから、
福島の復興がなかなか目に見えて進まなくて、なんとなくモヤモヤしているというところはあると思います。これは国の責任でもあるし、福島県にも良い意味でリーダーシップをとっていただきたい」

 トリチウム以外の核種には触れなかった。

【「原田さんの主張は正しい」】

 「大阪で汚染水を受け入れる?ああいう政治家のパフォーマンスに付き合いたくない。そんなもの出来るわけ無いじゃないですか。
府民が何を言いますかね。しかも、あれをどうやって持って行くのか。どんなリスクがあるのか」

 「そもそも何でも無いものをこね回すから、ああいう問題になるんですよ。海洋放出すると海を汚すという意見もある?何を言ってるんですか。
講演でも触れましたが、韓国はああ言っているけど、自分たちは何倍も海に流しているんですよ。
重水炉の(トリチウムの)量っていうのはすごいですからね。海洋放出しか無いから、みんなそうやっているんですよ。
他に方法が無いんです。原田さん(原田義昭前環境大臣)の主張は正しいですよ。当たり前の事です」

 講演後、取材に応じた田中氏は、やや不機嫌そうに語った。口調こそていねいだったが「汚染水を捨てても海など汚れない」、「そもそも海洋放出以外に方法が無い」との持論を改めて明確に打ち出していた。

 田中氏は2016年3月、外国特派員協会で行われた記者会見でも次のように語っている。

 「トリチウムはなかなか取り除く事が出来ないので、希釈して廃棄することになると思う。
国際的に見ても、トリチウムを除去するということは技術的にほぼ不可能に近い。どこの国も皆、排水していいる」

 「排出基準というのは核種によっていろいろ違うが、基本的にその影響がほとんど無い。要するに証明できるような影響が無いというレベルを十分下回るような形で決まっているので、
今、私どもがその安全性について証明するのが義務だと言われても、無いものを証明することは出来ない」

 「フランスやイギリスの再処理工場なんかで、福島のトリチウムから見るとはるかに桁違いに多いトリチウムが毎年、海に排出されているというような状況がある。

国際的ないろいろな方、IAEAもそうだが、前のNRCのマクファーレンさんとか、今のバーンズ委員長とかも含めて、やはりこれはトリチウムは残念ながら希釈廃棄する以外は方法がない」

続きソース
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