10月1日の消費税増税に合わせて導入されるキャッシュレス決済に伴う「ポイント還元制度」は、飲食料品などの消費税率を8%に据え置く「軽減税率制度」と合わせると、消費者が負担する実質的な税率は「10、8、6、5、3%」の5通りもある。小売店のスタッフや消費者が混乱する恐れもあり、経済産業省は周知に向けた取り組みを加速させるが、残された時間は少ない。(蕎麦谷里志)

消費税率が10%の商品を百貨店や大手スーパーなど大企業の店舗で買えばポイント還元はなく、消費者は「10%」を全て負担することになる。しかし、個人経営の文具店など中小店舗で買えば5%の還元があるため「実質5%」となり、外食など大企業のフランチャイズ(FC)加盟店だと2%還元で「実質8%」。同様に軽減税率が適用される8%の商品でも実質税率が「8、6、3%」となる。

ただ、大手のコンビニエンスストアやハンバーガー店などでは、本部が運営する直営店はポイント還元の対象外のため、国からの補助を受けられない。コンビニ大手3社は直営店分を自己負担することで全店で還元を実施するが、マクドナルドでは、ほぼ全てのFC店が参加する一方、直営店は実施せず、消費者には分かりにくい。

経産省は今月20日に、対象店舗や還元率を地図上で検索できるスマートフォン向けアプリも公開。特設サイトでも同様のサービスを提供するなど周知に力を入れているが、残された時間で国民の理解がどこまで及ぶかは未知数だ。

混乱のタネは実質税率の多さだけではない。国の登録外の店舗で買い物をしてもポイントは還元されないからだ。10月1日の開始当初の中小事業者の登録店舗は50万に届かず、対象となる約200万店の4分の1程度にとどまる。

2019.9.23 05:00 産経新聞
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