社会 2019年10月3日 夕刊

関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、森山氏が少なくとも約二十年前にも同様に金品を提供していたことが分かった。関電の原子力部門が長かった元幹部が「法外な品」を受け取ったと共同通信の取材に証言した。

 関電が二日に公表した調査報告書では、二〇一一〜一八年に森山氏と接点を持つ役職に就いた人物などを中心に、二十人が約三億二千万円相当の金品を受領していたことが判明。既に明らかになっている〇六年よりも前から繰り返されてきたことになり、企業統治の甘さが改めて浮き彫りになった。

 今回の調査対象期間は、税法上の時効期間やヒアリングが可能かどうかを考慮した。関電は新しい調査委員会で期間をさかのぼって調べる方針。

 また二十人のうち大塚茂樹常務執行役員、鈴木聡常務執行役員、豊松秀己元副社長が原発関連工事などを受注していた高浜町の建設会社「吉田開発」など二社から計三百九十万円相当の金品を受け取っていたことも判明した。工事費の一部が、森山氏を通さずに「還流」していた可能性がある。

 元幹部によると、一九九〇年代の終わりごろに現場を統括する立場になり、森山氏と初めて会った。それ以前から高浜町の有力者だと認識していた。「原発立地の際、お世話になったと聞いていた。一方で大変難しい人ということだった」

 「法外な品」が何かは明言せず、半年後くらいに返却したと記憶していると話した。「世間の常識ではおかしいと思った。誰にも相談せず、自分で知恵を出した。大変なことだった」と振り返った。その後、森山氏はひどく怒っていたという。

 関電によると、森山氏は一九七七〜八七年に高浜町助役を務め、八五年に運転開始した高浜原発3、4号機の建設の際、誘致や地域の取りまとめ役として関電と深い関わりを持った。町役場退職後は、関電の子会社「関電プラント」(大阪市)の顧問を三十年以上務めた。

 〇六〜一〇年に金品を受領していた関電の八木誠会長は二日の記者会見で「今回の件を厳粛に受け止め、全てのうみを出し切る。徹底的な調査と原因究明で、再発防止を確立するのが私の務めだ」と強調した。

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