令和元年10月4日
(教育無償化)
 最大の挑戦は、急速に進む少子高齢化です。
 今月、三歳から五歳までの全ての子どもたちの幼児教育、保育の無償化が実現しました。小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、七十年ぶりの大改革です。来年四月からは、真に必要な子どもたちの高等教育も無償化いたします。
 子育て世代の負担を減らします。そして、子どもたちの誰もが、家庭の経済状況に関わらず、自らの夢に向かって頑張ることができる。そうした社会を創り上げます。国難とも呼ぶべき少子化に真正面から立ち向かってまいります。

(一億総活躍社会)
 十五年前、一人のALS患者の方にお会いしました。
 「人間どんな姿になろうとも、人生をエンジョイ出来る」
 全身が麻痺(ひ)していても弾くことができるギターを自ら開発。演奏会にも伺いましたが、バンド活動に打ち込んでおられます。更には、介護サービス事業の経営にも携わる。その多彩な活動ぶりを、長年、目の当たりにしてきました。
 令和になって初めての国政選挙での、舩後靖彦さんの当選を、友人として、心よりお祝い申し上げます。
 障害や難病のある方々が、仕事でも、地域でも、その個性を発揮して、いきいきと活躍できる、令和の時代を創り上げるため、国政の場で、共に、力を合わせていきたいと考えております。
 令和を迎えた今こそ、新しい国創りを進める時。これまでの発想にとらわれることなく、次なる時代を切り拓いていくべきです。
 かつて採られた施設入所政策の下、ハンセン病の患者・元患者の御家族の皆様に、極めて厳しい偏見、差別が存在したことは、厳然たる事実です。そのことを率直に認め、訴訟への参加・不参加を問わず、新たな補償の措置を早急に実施します。差別、偏見の根絶に向けて、政府一丸となって全力を尽くします。
 「みんなちがって、みんないい」
 新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を、根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる。そうした社会を創ることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。
 若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、更には、一度失敗した方も、誰もが、思う存分その能力を発揮できる、一億総活躍社会を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。

全文
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1004shoshinhyomei.html