https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191008/k10012117741000.html

SNSに投稿された画像から住所が割り出されていました。アイドル活動をする女性が帰宅したところを
襲ったとして逮捕された男は「SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映った景色を手がかりに住所を特定した」
と供述していることが捜査関係者への取材で分かりました。

先月1日の夜、東京 江戸川区のマンションに帰宅したアイドル活動をする20代の女性に対し、
背後からタオルで口をふさいで引き倒し、体を触るわいせつな行為をしてけがをさせたなどとして、
さいたま市北区の佐藤響被告(26)が8日起訴されました。

佐藤被告は女性の熱狂的なファンで、その後の調べで「SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映る景色を
手がかりに住んでいる場所を特定した」と供述していることが捜査関係者への取材で分かりました。

グーグルマップのストリートビューという機能を使って、女性の瞳に映った駅の風景と特徴が似ている駅を見つけ出し、
駅で待ち伏せをしてマンションを特定したということです。

また、女性がSNSで配信した動画を見て、カーテンの位置や窓の光のさしかたなどから、女性の部屋の位置まで
把握していたということです。

刑事政策が専門でSNSのリスクにも詳しい首都大学東京の星周一郎教授は「スマホカメラの画質が非常に精細になり、
全く想定しない形でプライバシー情報が流出する新たなリスクが出てきた。いわば“デジタルストーカー”のリスクが
高まっていて、SNSに画像をあげる際は、位置情報がわかる写真を避けたり画質をあえて落とすなど、対策が求められる」
と指摘しています。


専門家「画質精細で新たなリスク」

瞳の中に映った景色をスマートフォンのカメラで撮ると、どのように見えるのか。刑事政策が専門でSNSのリスクにも
詳しい首都大学東京の星周一郎教授とともに、キャンパスの中で実験してみました。

屋根の部分が特徴的な大学の建物の前で、スマートフォンのカメラで自分でみずからの姿を撮影する星教授。
撮った画像を見せてもらうと、星教授の瞳の奥に屋根の形がくっきりと見えていました。

星教授は「スマホカメラの性能がよくなり画質も非常に精細になっているために全く想定しない形でプライバシー情報が
流出してしまう新たなリスクが出てきた。ネットの情報からストーカー行為に発展する、いわば“デジタルストーカー”の
リスクが顕在化した事件だ」と指摘しています。

そのうえで防犯上の注意点として「手がかりとなる情報さえあれば特殊な技能などなくてもインターネットの画像検索
などの機能を組み合わせて場所を特定することもできる。SNSに画像をあげる際は、利用者はプライバシーが流出する
リスクが常にあることをよく認識することが必要で、ソフトウエアの側も画質をあえて落とすオプションを設けるなど新たな
対策が求められる」と話しています。