刀剣「村正」特別公開へ 「正重」も 三重・春日神社

 第二次世界大戦中に漆が塗布され、太刀の全容が分からなかった桑名宗社(春日神社)=三重県桑名市本町=の神宝「村正」(県有形文化財)が漆を剥いだ刀本来の姿によみがえり、20日から3日間、特別公開される。

 不破義人宮司によると、戦時中に神職だった祖父の故義幹さんが戦災から神宝を守るため、刀にサビ止め用の漆を塗って、当時の宮司宅に疎開させた。神社は焼けたが、刀は難を逃れ、漆が塗られた状態のまま、今日まで保存されてきた。

 刀は桑名の刀工、村正が室町時代の天文12(1543)年に制作。2口あり、共に工芸技術や文化史の面から価値が高いとして2016年に県有形文化財に指定された。

 桑名市博物館で開催された刀剣の展示会で神宝を見た人から、「今は平和な時代。本来の刀の姿に戻してはどうか」と提案され、令和の節目となる「即位礼正殿の儀」に合わせ、漆を剥いで公開することにした。

 研師(とぎし)の手でよみがえった村正は、派手な刃紋が浮かび上がり、市博物館の杉本竜館長は「村正の特徴がよく出ている。最上の出来ではないか」と評価する。不破宮司は「特別公開で桑名の刀匠、村正を広く発信するとともに今後も神宝を大切に守っていきたい」と話す。

 公開場所は春日神社会館で午前9時から午後4時まで。入館無料。他にいずれも神宝の漆塗りの「村正」、村正の後継者「正重」の刀剣2口を展示する。【松本宣良】

特別公開される桑名宗社の神宝「村正」=2019年10月16日午前10時28分、松本宣良撮影
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毎日新聞2019年10月17日 12時11分