人工ヒレのアカウミガメ「悠」9月に死ぬ 須磨海浜水族園に献花台設置

 神戸市立須磨海浜水族園(同市須磨区若宮町1)は18日、アカウミガメの雌「悠」が死んだと発表した。両前脚を失った状態で保護され、関係機関が試行錯誤を繰り返して専用の人工ヒレを開発。名前の通り、悠々と泳ぐ姿は多くの人に愛された。

 悠は2008年6月、紀伊水道で保護され、神戸空港島の人工池や同園で飼育されてきた。両前脚はサメに食いちぎられたとみられ、他個体と比較して遊泳速度が約6割に落ちていた。

 09年、失われた前脚の機能を補うための「人工ヒレ開発プロジェクト」が始動。36回の試作の末、14年に完成し、プロジェクトは絵本にもなった。

 悠は9月20日に衰弱しているのが見つかり、バックヤードの水槽に移して治療していたが、26日に死んだ。推定30〜40歳。死因は調査中という。同園研究教育課の石原孝課長は「両前脚を失いながら、今まで強く生きてくれた。残念でならない」と話した。

 同園は19日〜11月3日、本館3階の悠のコーナーに献花台を設ける。(長谷部崇)

人工ヒレを着けて水中をのびのびと泳ぐアカウミガメの悠(2014年4月撮影)
https://i.kobe-np.co.jp/news/kobe/201910/img/b_12801193.jpg
海中を泳ぐ人工ヒレを装着したアカウミガメの悠=2009年9月11日、神戸空港島内の人工海水池
https://i.kobe-np.co.jp/news/kobe/201910/img/b_12801192.jpg

https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/201910/0012801191.shtml
2019/10/18 21:25神戸新聞NEXT