今年、各地で人がクマに襲われる被害が相次いでいます。また3年前には、人を食べた形跡があるクマも見つかっています。一体なぜクマは人を襲うのか、その理由と対策を取材しました。

 森の中で動く一匹の真っ黒な生き物…。今年8月、岐阜県高山市で撮影されたツキノワグマの映像の様子です。このツキノワグマに人が襲われる被害が各地で相次いでいます。

※中略

妻がクマに襲われた男性:
「(指の)骨が割れてボルトで横に2本と、縦に2本、手術で」

 岐阜県恵那市の上矢作町で、畑作業をしていた女性(当時72)が2頭のクマに襲われ、指を骨折する大ケガ。岐阜県内で今年、クマに襲われケガをした人数は13人にのぼっています。

 相次ぐクマの被害、そのワケは…。

岐阜大学 淺野玄准教授:
「ドングリですとかブナとかナラ、これが山の実なりが良くなくてですね、人里なんかでもエサを求めて出てくる」

 クマの生態に詳しい岐阜大学の淺野玄准教授は、ドングリの不作が原因だと指摘します。

 クマは、ブナなどの実をエサにしていますが、今年は5年に一度ほど訪れる凶作の年。山にエサがないためクマが人里に下りてくるといいます。

 実際、23日女性が襲われた豊田市では、柿が食い荒らされ、木の幹にはクマのものとみられる爪痕が残っていました。

女性:
「これが牙の痕だとかいって、ガブっとやったんだねきっと」

淺野准教授:
「里山のほうにはなかなか人も少なくなってきて、農業の形態も変わって、農業を辞めてしまう方も増えたりして」

 過疎化などで里山に人の手が入りにくくなり、人が住むエリアと山の境界線が曖昧に。クマが人のいない場所と認識し、行動範囲が広くなっているといいます。

 岐阜県によりますと、今年9月末までで県内のクマの目撃件数は597件で、去年に比べその数は2倍以上にのぼっています。

 人との距離が徐々に近くなっているクマ。3年前には、人を襲ったクマの腹のなかからある信じがたいモノが見つかっていました。

(リポート・2016年)
「今、ブルーシートが広げられています。どうやら遺体が見つかった模様です」

 2016年、秋田県鹿角市で男女4人が相次いでクマに襲われ死亡した事故。男女を襲ったとみられるツキノワグマは射殺されましたが、その胃や腸の中から見つかったのは、人の体の一部でした。

 人を食べていたとみられるクマ。人をエサだと認識して襲ったのでしょうか…。

淺野教授:
「クマ自体は基本的には主に草食動物なんですね。なので人自体を自分の餌としては認識していないんですね。餌としてというよりも驚いて、自分の身を守るために攻撃をしてくる」

 クマにとって人は天敵。あえて襲うことはほどんどありません。しかし、人から食べ物を奪うために襲ってくる可能性があるといいます。

淺野教授:
「ゴミとか作物とか、そういった物の方が彼らにとっては魅力的で、沢山あるので探す必要もなくて。人がいる所にエサがあるということを学習してしまう場合には、人から何か餌を奪おうとしたりということはあるかもしれません」

 まずは何よりもクマと出会わないことが第一です。

 人が近くにいることを知らせるために、クマよけの鈴やラジオを携帯する。一人で行動するのは避け、複数人で行動する、こういったことが大切となります。

 では、クマと遭遇してしまったら…。よく言われる「死んだふり」はダメです。クマは死んだ動物を食べることがあり、興味をもって噛みつく可能性があるということです。

 また、走って逃げるのもダメ。素早く動くとクマを興奮させてしまう可能性もあります。クマは時速40キロ以上で走ることができるので、とても逃げ切れません。

 クマを見ながら背を向けずに「ゆっくりと後ずさり」してその場を離れる、これが正しい対処方法だということです。

10/24(木) 19:20
東海テレビ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191024-00024994-tokaiv-soci
https://lpt.c.yimg.jp/im_siggiMi9IDQVqQApVJnz4oI6Xw---x400-y300-q90-exp3h-pril/amd/20191024-00024994-tokaiv-000-thumb.jpg