ブタの伝染病、豚コレラの感染を防ぐワクチンの、養豚場のブタへの接種が25日から東海と北陸地方の6つの県で始まりました。農林水産省は当初、流通に影響が出るなどとしてワクチンの接種には慎重でしたが、感染の拡大に歯止めがかからないことから方針を転換し、接種が行われるのは13年ぶりです。

農林水産省は豚コレラへの対応を示した防疫指針を今月改定し、ウイルスを広める野生のイノシシの感染が確認されている岐阜県など11の県で養豚場のブタへのワクチン接種を行う方針で、25日は、このうち東海と北陸地方の6つの県で接種が始まりました。

豚コレラのワクチンは、かつては接種が行われていましたが、1990年代以降、感染がみられなくなったこともあり、国内では2006年に全面的に中止されていました。

農林水産省は、ワクチンを接種すると、豚コレラに感染したブタを見分けることが難しくなり、流通に影響が出るなどとして慎重な姿勢をとってきましたが、感染拡大に歯止めがかからなかったため方針を転換しました。

接種が行われるのは13年ぶりで、専門家は、感染対策をワクチンだけに頼るのではなく、柵を設置して野生のイノシシを養豚場に入れないようにするほか、消毒を行うなど、衛生管理の徹底が必要だと指摘しています。

江藤農林水産大臣は、25日の閣議のあとの記者会見で「日本では2006年までの37年間、ワクチンを接種していたが、健康被害の報告はない。ワクチン接種した豚の肉が市場に流通することになるが、全く心配ないので、安心して食べてほしい」と述べました。
そのうえで、江藤大臣は「ワクチンがない『アフリカ豚コレラ』が迫っているおそれもあり、緊張感が失われないよう気を配っていきたい」と述べ、養豚場での衛生管理の徹底に努める考えを強調しました。

農林水産省によりますと、ほかにワクチン接種の対象地域になっている群馬県など5つの県では、今後、準備ができ次第、接種が行われるということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191025/k10012148011000.html