2019年10月22日、エルドアン大統領はロシアのソチで、プーチン大統領と会談した。両首脳は、トルコが展開するシリア北部での軍事作戦について意見交換を行い、クルド系武装組織の人民防衛隊(YPG)を中心とする、シリア民主軍(SDF)をトルコとの国境地帯から排除することなど、10項目で合意した。同合意について、プーチン大統領が「決定的ではないにしても非常に重要」と評したのに対し、エルドアン大統領は「歴史的」であると述べた。



 以下に、合意の重要な点について要約する。



【トルコ・ロシア合意(抜粋)】

・SDFは、10月23日の正午から150時間以内にシリアの北東国境のほぼ全域となる部分から、ユーフラテス川、イラク国境地帯まで撤退する。

・ロシア軍とシリア政府軍は、SDFが国境地域から30キロまで撤退することを保証する。

・150時間の有効期限終了後の10月29日以降は、トルコ・ロシア両軍が、国境沿い10キロ幅の共同パトロールを開始する。

・両国は、アダナ合意の重要性を再確認し、ロシアはアダナ合意の実施を促進する。



 ロシアからの帰路、エルドアン大統領は報道陣に対し、「我々は占領軍ではない。ここの本当の所有者はトルコにいる360万人の難民である。彼らが自発的に戻りたいと思えば、自分たちの土地で生活を続けることができる」とし、トルコ軍のシリア北東部での駐留はそう長くはないとの見通しを示した。

 軍事作戦を巡る対米関係の悪化の問題も、解決の方向で動いている。トルコ・ロシア首脳会談に先立つ10月17日、米国のペンス副大統領は、ポンペオ国務長官、オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ジェフリー国務省シリア担当特別代表を伴ってトルコを訪問した。エルドアン大統領と5時間にわたり実施された会談において、トルコがシリア北部で展開する「平和の泉」作戦を120時間(5日)一時停止し、この間にYPGが安全地帯から撤退することを許可することなどで合意した。また、恒久的に軍事攻撃の可能性がなくなれば、10月14日に米国が発動したトルコへの経済制裁は解除することでも一致していた。そして、10月23日、本合意をもってこの目的が達せられたものとして、トランプ大統領は対トルコ制裁の全面解除を発表している。

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YPGの完全排除が目的なんだろうけど、
ISの収容施設の攻撃により、
既に100人以上のIS戦闘員が脱獄・逃走している。
現実的に見て、『歴史的合意』とは言い難く、
IS戦闘員が個別に動き出す可能性すら残っている。
アメリカは、『IS収容者はトルコの監視下に置く』ってしてるけど、
こんなグズグズじゃ、また、火種が広がる気がしてならないのは、
果たして、自分だけだろうか。。。