台風19号による豪雨で、長野県上田市の上田駅と別所温泉駅を結ぶ上田電鉄別所線(11.6キロ)では、千曲川に架かる赤色の鉄橋が崩落した。

観光客や沿線住民の足として地域に支えられてきた路線。一部は運転を再開したが、橋の復旧のめどは立っていない。

鉄橋は別所線が北陸新幹線などと接続する上田駅を出てすぐにある。1924(大正13)年に架けられた橋は、別所線の象徴として市民や鉄道ファンに親しまれてきた。

10月13日午前、増水により堤防と共に橋台が崩れ、224メートルの橋のうち44メートルが崩落した。上田電鉄は15日から一部区間の運転を再開し、不通区間は代行バスを走らせているが、本数は減り時間もかかる。
今月16日には運行区間を延長する方針だが、橋が崩落した城下―上田間(0.8キロ)は再開の見通しが立たない。

沿線の上田女子短大(同市)1年の村上聖奈さん(18)は「鉄橋の近くに住み、通学で使っていた。崩落を知って信じられない気持ちで、ショックだった」と振り返る。
車で通学しているが渋滞もあり、「電車は時間が正確で早い。復旧してほしい」と期待する。

別所線の終着駅にある別所温泉では被災直後、予約のキャンセルが相次いだが、1カ月を経て例年並みに戻った。
旅館は平常通り営業しており、倉沢晴之介旅館組合長(39)は「安全だよと伝え、来てもらいたい」と訴える。

上田電鉄はかつて利用客減で廃線の危機に陥り、住民や自治体の支援で立て直してきた。上田女子短大生による観光ガイドなど利用客確保にも取り組み、
一時117万人まで落ち込んだ輸送人員は、2016年度には131万人に回復した。
それだけに鉄橋崩落の影響は大きく、同社は復旧費の支援を国などに要請している。

被災後、インターネット交流サイト(SNS)には「がんばれ別所線」などと応援の声が寄せられ、
地元の子どもからは「また乗りたい」「がんばって」との寄せ書きも届いた。寄付の申し出も相次ぎ、ホームページで銀行口座を紹介している。

同社の矢沢勉運輸課長(54)は「県外の市出身者から『思い出の赤い橋を直してほしい』という声も届き、
改めて市民の象徴だと感じた」と話し、「鉄道は地域の人にはなくてはならず、できるだけ早く復旧したい」と前を向いた。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191113-00000013-jij-soci
11/13(水) 7:11配信

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