「ユニクロ」を展開する「ファーストリテイリング」は、今後3年間で国内や海外の物流拠点となる倉庫を完全に自動化する方針を明らかにしました。拡大するネット通販の需要に対応し、国際的な競争力を高めたいというねらいがあります。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は13日記者会見し、物流の拠点となる倉庫の自動化をさらに進める方針を明らかにしました。

具体的には、商品を識別してアームでつかむ機能を備えたロボットを東京のベンチャー企業と共同で開発するなどして、棚から商品を取り出して箱に詰める作業を自動化するとしています。

これによって、注文を受けてから商品を発送するまでのすべての作業を自動化できるということで、拡大するネット通販の需要などに対応するねらいがあります。

ファーストリテイリングは、およそ1000億円をかけて国内のほか中国やオーストラリアなどの海外の倉庫についても3年以内に完全に自動化する方針で、物流コストを抑えて国際的な競争力を強化したい考えです。

ただ、ロボットが正常に稼働しているかどうかをチェックする作業が必要で、倉庫を無人化するわけではないということです。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は記者会見で、「世界でも非常に珍しい初めてのような試みだ。サービスの世界でもロボットやセンサーなど最新技術を組み合わせてサプライチェーンを構築した企業が今後の世界をつくることになるだろう」と述べました。

■進む倉庫の自動化

企業は人手が不足する中、拡大するネット通販の需要に対応するため物流の拠点となる倉庫の自動化を進め、注文を効率的に処理する仕組みを相次いで導入しています。

経済産業省によりますと、ネット通販の市場規模は、昨年度(2018年度)は17兆9845億円にのぼり5年間で1.6倍に急拡大しています。こうした需要に対応するためネット通販を手がける企業は大型の物流拠点をつくり設備の自動化を進めています。

このうちネット通販大手の「アマゾンジャパン」の最新の物流拠点では、ロボットが商品棚の下に入って棚を動かし従業員のところまで運ぶ仕組みを取り入れていて、従業員は移動に時間をかけずに効率的に作業することができるということです。

また家具や日用品を販売する「ニトリホールディングス」も物流センターにロボットを導入し、商品を従業員のところまで運ぶ業務を自動化しています。

このように大型化する物流拠点をいかに効率的に運用できるかがネット通販をはじめとした流通業界のビジネスで勝ち残るための鍵となっていて、倉庫の自動化の流れはさらに進みそうです。

■ファーストリテイリング役員「企業の存続に関わること」

倉庫を完全に自動化する狙いについてファーストリテイリングの神保拓也上席執行役員は「人手不足が進む中で倉庫での作業をロボットで自動化することは、物流業界の持続可能性を考える上で重要なことであり、企業の存続に関わることでもある。自社だけで完全な自動化を進めることは難しいので、今後も最新の技術を持つ企業などと協力して自動化を実現したい」と述べました。

2019年11月13日 20時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191113/k10012176081000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191113/K10012176081_1911131755_1911131807_01_02.jpg