海洋研究開発機構(JAMSTEC)や東京大学などの合同調査団は、日本の最東端に位置する小笠原諸島の南鳥島沖の海底で、推定1100万年前に隕石が衝突した痕跡を発見した。陸上にクレーターが見つかっていないことから、海に落下した隕石としては、世界で2例目の証拠になる可能性が高い。
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■レアアースの調査中に偶然発見

JAMSTEC海底資源センターの野崎達生氏らの調査団は2014年10月、海洋地球研究船を使って南鳥島沖の海底に眠るレアアースなどの海洋資源を調査中、海底下320〜360センチ付近を掘削したところ、「オスミウム」や「イリジウム」という金属が非常に多く含まれた地層を発見。

 含有濃度を分析した結果、地球の大陸地殻には1ppb(百万分率)とごくわずかしか存在しないイリジウムが三倍以上も含まれていた。
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■海底下3メートル付近にエジェクタ層

これは6600万年前に恐竜絶滅を引き起こした巨大隕石の衝突でできたクレーターから、飛び出した物質が堆積してできた地層(エジェクタ層)に比べると、やや少ないものの、カナダに直径90キロのクレーターを作った、2億1500万年前の隕石落下でできたエジェクタ層には匹敵する含有量だという。

 さらに含まれる鉱物を電子顕微鏡で詳しく観察したところ、粒子の構造が、隕石落下の際に高温の熱で溶けたあとに急速に冷えたものに特有の特徴を示していたという。
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■海底下3メートル付近にエジェクタ層

年代測定の結果、隕石落下が原因でできたエジェクタ層は、推定約1100万年前と判明。陸上に大きなクレーターが存在しないことから、これまで見つかっていない隕石落下を裏付ける証拠だという。

 実は1160万年前には、哺乳類を中心に大量に生物が絶滅した歴史があるのだが、地球上で起きた少なくとも11回の大量絶滅のうち、最も新しい1160万年前のできごとのみ、原因が解明されていない。

 調査団は、南鳥島沖で見つかった隕石落下の痕跡が、1160万年前の大量絶滅の謎を解く鍵の可能性があるとして、引き続き調査を続けていく計画だ。
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