東日本大震災の津波で多くの児童が犠牲となった宮城県石巻市の大川小学校の遺族が都内でシンポジウムを開き、防災対策の不備を認めて市と県に賠償を命じた判決が確定したことを踏まえて、教訓を今後に生かしてほしいと訴えました。

会場となった東京 千代田区の大学には教育関係者や学生などおよそ100人が集まりました。

8年前の津波で児童と教職員合わせて84人が犠牲となった石巻市の大川小学校をめぐっては、児童23人の遺族が訴えた裁判で最高裁判所は先月、事前の防災対策の不備を認め、市と県に賠償を命じた判決が確定しました。

シンポジウムでは原告の遺族2人や弁護士が登壇し、このうち5年生だった次女を亡くした紫桃隆洋さんは「裁判で勝訴しても子どもたちは帰ってこないが、判決が防災対策として形となり、今後の災害から多くの命を守ることにつながれば、失われた命が生かされることになる」と述べました。

そのうえで、「災害時にどう行動すればいいか、一人一人が考えなければ命は守れない」と訴えました。

参加した40代の大学職員は「教員の育成に携わっているので、大川小学校のことを学生たちにしっかりと伝え、子どもたちを守れる人材を育てていきたい」と話していました。

2019年11月23日 20時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191123/k10012188751000.html
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