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賃貸住宅オーナーの税逃れ防止 金取引利用し、消費税の控除悪用―20年度税制改正
2019年11月26日07時09分


 賃貸住宅のオーナーが建設・取得時に支払う消費税をめぐり、本来認められていない税の還付が控除ルールを悪用する形で不適切に行われているとして、政府・与党が制度改正を行う方向で最終調整に入ったことが25日、分かった。本業とはまったく関係ない金などの投資商品の取引を繰り返して売上高を増やし、消費税の還付を受ける手口が広がっているため、オーナーに還付されないように改める。


 10月の消費税増税で国民の負担が増える中、抜け道を放置できないと判断。12月にまとめる2020年度税制改正大綱に盛り込む方針だ。

 事業者が消費税を納める場合、売り上げにかかった税額から仕入れ分を控除できる「仕入れ税額控除」という制度がある。しかし、売り上げに相当するマンションやアパートといった居住用の家賃収入が非課税であるため、仕入れに当たる賃貸住宅の建設・取得時の税額を控除できない。
 そこで、金を中心に投資商品の取引を繰り返して、オーナーは売上高をかさ上げ。家賃収入を含む総売上高を増やすとともに、総売上高に占める課税対象売上高の割合を高めることで、還付を受けているという。

 このようなスキームは違法ではないが、政府・与党は消費税の適正な納税を逃れるための抜け道となっていると指摘。こうしたケースを念頭に、居住用賃貸住宅の建設・取得時の仕入れ税額控除を認めない制度をより厳格に運用する。その結果、オーナーは消費税の還付を受けることができなくなるという。

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