【ドイツ】与党CDUは支持率ガタ落ちし、緑の党が支持を伸ばす…ドイツでなにが?


http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/

CDU・緑の党の党大会が示した明暗

6 Dezember 2019 Nr.1111

次の連邦議会選挙は、2021年10月24日。あと2年足らずである。各政党は首相候補を絞り込むための作業を始めた。キリスト教民主同盟(CDU)が11月22〜23日に、緑の党が11月15〜17日に開催した党大会は、再来年の総選挙で大きな波乱が起きることをはっきりと示した。支持率低下に苦しむ伝統政党と、「国盗り」を目指す環境政党の躍動感と結束の強さ。2つの党大会は、この格差を白日の下にさらした。


批判を封じ込んだクランプ=カレンバウアー氏
CDUのライプツィヒでの党大会は、A・クランプ=カレンバウアー党首にとって正念場だった。同党では彼女の指導力に疑問を呈する声が強まっていたからだ。「首相候補にふさわしくないのではないか」という見方も浮上している。だが彼女は党大会での捨て身の演説によって、こうした不満を少なくとも一時的に鎮静化させることに成功した。

同氏は「私が望んでいる将来のドイツが皆さんの希望と異なる場合には、今日この場で率直に話し合って、諍(いさかい)に終止符を打ちましょう。もしも私の構想が皆さんの希望と一致する場合には、今日から一緒に仕事に取り組みましょう」と訴えた。彼女は「私に不満があるならば、党大会ではっきりさせよう」という「最後通牒」を突き付けたのだ。この演説直後、代議員たちは総立ちになり7分間にわたって党首に拍手を送った。これによって同氏は一種の「みそぎ」を受けて、自分への批判を封じ込んだのである。

党首の人気がわずか18%に下落

党首に対する批判の理由の1つは、今年9〜10月にザクセン州など3つの州で行われた州議会選挙で、CDUが「惨敗」したことだ。同党のテューリンゲン州議会選挙での得票率は前回に比べて約12ポイント、ザクセン州とブランデンブルク州ではそれぞれ約7ポイント減った。右翼政党ドイツのための選択肢(AfD)がどの州でも、得票率を大幅に増やしたのとは対照的だ。昨年11月の党大会での党首選で敗れたF・メルツ元院内総務は、「連邦政府のイメージは最悪だ」と公言し、旧東ドイツ地域での州議会選挙の連敗の責任はメルケル政権にあると批判した。

メルケル首相の後継者として最も有力視されていたクランプ=カレンバウアー氏の人気は下がる一方だ。公共放送ARDの意識調査によると、同氏への支持率は今年1月には46%だったが、11月にはわずか18%に下落した。同氏は7月に連邦国防大臣に就任したが、突然「欧州諸国はシリア北部に軍を派遣して緩衝地帯を設置し、トルコ軍の侵攻で危険にさらされているクルド人を守るべきだ。ドイツも約2500人の兵士を送る準備がある」と発表。同氏はこの構想を大連立政権のパートナーである社会民主党(SPD)と全く協議していなかった。またクランプ=カレンバウアー氏は、トルコ軍のシリア侵攻を誤って「併合」と発言してしまい、国際政治の領域での知識や経験不足が露呈した。

それだけに党大会での代議員たちのソフトな反応は意外だった。最大のライバルのメルツ氏さえ、クランプ=カレンバウアー氏を全く批判せず、指導部に協力する姿勢を見せた。CDUはメディアと有権者が注目する党大会で、分裂している印象を与えることを避けたのだ。つまり本当は険悪な関係の夫婦が、公では仲良く振舞うようなものである。ただしこの党大会でCDUの問題が抜本的に解決されたわけではなく、多くの有権者が厳しい目を向けていることに変わりない。

緑の党の次期政権入りは確実か?
(リンク先に続きあり)


11月22日、CDUの党大会で演説するクランプ=カレンバウアー氏
http://www.newsdigest.de/newsde/cache/com_responsivizer/4a7cd48c83eaee6fcbed4700bfe0dd83cbacf133.jpg