https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53075900X01C19A2MM8000/


スタートアップ出資、1億円以上で減税
2019年12月7日 18:52



政府・与党は大企業が設立10年未満の非上場企業に1億円以上を出資したら、出資額の25%相当を所得金額から差し引いて税負担を軽くする優遇措置を設ける。自社にない革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップと協業し、新たな利益の源泉となるイノベーションを起こしやすくする。大企業が自社にため込んだお金を活用するよう促す狙いもある。

自民、公明両党の税制調査会での議論を経て、2020年度の与党税制改正大綱に「オープンイノベーション促進税制」の創設を盛り込む。

新税制は20年4月から22年3月末までの出資に適用する。海外のスタートアップに出資する場合は5億円以上の出資額を条件とする。中小企業による出資額は1千万円以上とする。

国内の事業会社とコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)による出資が対象だ。投資会社などによる出資は認めない。

大企業が自社の人材や取引網と、スタートアップが持つ技術やノウハウを組み合わせ、新分野に進出するなど事業構造を転換できる見通しがついていることも条件とする。大企業のグループ会社への出資は対象外とする。

出資した大企業が出資から5年以内に株を手放したら、新税制の適用によって受けた税優遇分を国に返す措置も盛り込む。大企業が税優遇を得ること自体を目的に出資し、事業面では異業種への進出に結びつかないといった事例を防ぐ狙いだ。

新税制で必要となる財源は、大企業の交際費支出に適用している減税措置を大幅に縮小して捻出する。研究開発税制など既存の優遇税制については、十分な投資をしなければ優遇を受けられないよう基準を厳格化する。