3日から4日にかけて、関東北部を震源とする震度3以上の地震が5回も続いた。このうち3回で震度4を観測。不安に感じる人も多いだろう。そういえば、南関東の各地でイノシシが相次いで目撃されている。相次ぐ地震とイノシシは大地震の前触れ、という可能性はあるのだろうか。(稲垣太郎)

 「これほど続くことはあまりない。今日は朝から従業員を集めてミーティングしましたよ」。栃木県佐野市で刃物店や飲食店などを経営する会社の豊島逸夫社長(64)は早口で話した。

 佐野市では三日に震度4を観測。この地震の震源地は茨城県南部だった。四日にも関東北部で地震が続き、震源は茨城県や栃木県で佐野市も揺れた。

 豊島さんは「水害で一カ月くらいの間、客が三分の一になった店もある。ミーティングでは、もっと大きな地震が来ると考えて、車のガソリンを満タンにするなどの行動を取れと指示した」と話した。

 四日に震度4の揺れに襲われた茨城県日立市では、十一月八日にも震度4を観測。だが、卸売食料品店を営む店長の男性(51)は「東日本大震災と余震で震度6弱ぐらいの揺れを体験し、地震に慣れてしまった。防災意識が下がってしまった」と語っていた。

 一連の地震を気にする人、気にしない人と反応は食い違うが、大地震の前兆かどうかはだれもが知りたいところだろう。

 武蔵野学院大特任教授(地震学)の島村英紀氏は「心配されている首都直下地震との関連は『分からない』というのが正確だ」と言いつつ、警鐘を鳴らす。一連の地震の震源域がフィリピン海プレートの先端にあたることが理由だ。

 フィリピン海プレートは年に四・五センチ動く。南から首都圏の地下に潜り込み、大きなエネルギーをため込んでいる。これが首都圏に大地震を引き起こす原因になり得るという。

 島村氏は「首都圏はいつ大地震が起きてもおかしくない状態。一連の地震の震源域では、東日本大震災が起きた二〇一一年に地震があった」と話す。

 そして島村氏は「寝る時には懐中電灯をシーツや枕の下に入れておく。そうすれば揺れで飛ばされない。ガラスが割れても外に逃げられるよう、底の厚い靴を枕元に用意しておく。都市部では、昼と夜に一度ずつ、職場から自宅に歩いて帰ってみる」と備えを促す。

 ところで最近、東京都足立区や埼玉県富士見市にイノシシが出没している。どちらも過去にあまり目撃情報のない地域だ。ナマズをはじめ動物の異常な動きは地震の前触れとも言われる。このイノシシが前兆の可能性はあるのだろうか。

 「まったくないと思う」。イノシシの生態に詳しい宇都宮大の小寺祐二准教授(野生動物管理学)ははっきりと否定した。イノシシの出没には、各地で大きな被害を出した十月の台風19号が関係しているという。

 「イノシシは、山沿いの河川敷の草むらにもすんでいる。増水で足立区など下流に流された。生き残ったイノシシは、河川敷の人目に付かない所でしばらく様子を見ていた。だが、このままではいけない、元いた所に戻らなくてはと動き始めた。それで目撃されたのではないか」

 そのタイミングがたまたま一連の地震と前後したようだ。

(東京新聞 2019年12月7日朝刊「特報面」に掲載)
2019年12月9日 12時06分
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019120990120655.html

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