離れぬ「常連客」
【自民支持層の内閣支持率】

第1次政権平均=支持(77%)/不支持(10%)
第2次政権平均=支持(83%)/不支持(6%)

これは、自民支持層の内閣支持率の平均です。安倍首相は自民党のトップ・党総裁でもあり、定食屋でたとえるなら、自民支持層はその店の「常連客」です。第1次政権が短命に終わり、第2次政権が長く続いている背景には、この「常連客」の動きがありました。

第1次政権は発足当初こそ、自民支持層の支持率は89%でしたが、その後の閣僚の相次ぐ辞任などによって低下します。

参院選直前の07年6月には最低の64%となり、参院選は惨敗。内閣改造を行った8月は78%に持ち直しましたが、敗戦のダメージは大きく、自身の体調不良も重なり退陣につながりました。肝心の国政選挙で「常連客」が離れてしまえば、選挙に勝って定食屋を続けていくことは難しくなります。

一方、第2次政権では、自民支持層の支持率は70〜90%台で推移します。財務省の公文書改ざんなどが発覚した直後の18年4月は68%に下がりましたが、その翌月には74%と持ち直しました。5度の国政選挙前にはいずれも70%台後半〜90%台前半をキープしており、「常連客」を離さないことが第2次政権の強みとなっています。


支持する理由トップは……「他よりよさそう」
では、「常連客」が第2次政権で離れていかないのはなぜでしょうか。朝日新聞の世論調査では16年7月以降、内閣を支持する人にその理由を次の4つの選択肢の中から聞いています。11月は次のような結果になりました。

【内閣を支持する理由(2019年11月)】

他よりよさそう=全体(56%)/自民支持層(53%)
政策の面=全体(16%)/自民支持層(17%)
自民党中心の内閣=全体(15%)/自民支持層(17%)
首相が安倍さん=全体(11%)/自民支持層(11%)
※その他・答えないは省略

自民支持層の内閣支持理由のトップは、この4つの選択肢では常に「他よりよさそう」です。さらに11月調査では、長期政権の理由についても聞きました。

【安倍政権が長い間続いている理由について、あなたの考えに近いものは、次のうちどちらですか(2019年11月)】

他に期待できる人や政党がない=全体(82%)/自民支持層(74%)
安倍さんの政治姿勢や政策がよい=全体(14%)/自民支持層(25%)
※その他・答えないは省略

第2次政権を支えてきたのは、熱烈な安倍政権への支持者よりも、消極的な支持者の方が多いと言えそうです。その背景には、安倍首相が2012年12月の衆院選で当時の民主党から政権を奪還し、その後5回の国政選挙で勝ち続けていることがあります。

自民支持層にとっては、安倍首相は与党への返り咲きを果たした功労者であり、自民党内にほかに期待できる人が台頭してこない限りは、今のままでいいという意識が働いているのではないでしょうか。

たとえるなら、近所のライバル店が店名を変えてもぱっとせず、内輪もめで客足が伸びない中、特別おいしいわけではないけれど、ほかの店よりはよさそうな定食屋「安倍」に客が集まっている。そんな状況なのかもしれません。

https://withnews.jp/article/f0191210002qq000000000000000W0dk10101qq000020181A