アメリカでは33年ぶりに、レコードがCDを上回る!?

SpotifyやApple Musicといった音楽配信サービスを使えば月額¥980で聴き放題の昨今、なぜかレコードの売り上げが世界的に好調だ。特にアメリカでは33年ぶりに、レコードの売り上げがCDを上回る可能性が高いといわれるほど。これは一過性のブーム? それともここからアナログの快進撃が始まる? レコードに注目が集まる理由を考察した。

◆デジタルのカウンターカルチャーとして人気が定着

「タワーレコードが専門店をオープンさせたのは今年3月ですが、レコード盤の売り上げ自体は5〜6年前から伸びていると感じます」と話してくれたのは、国内最大級のレコード盤専門ショップ『TOWER VINYL SHINJUKU』の青木太一店長。

同店の在庫量は中古レコードが約40,000枚、新品は約30,000枚。新作、再発、限定盤など幅広い品揃えで、インディーズもきっちり網羅する。

少し前まで洋楽のレコードにはダウンロードコードが付いていて、レコードを買えば配信も使えるというものが多かったが、今はそのコードも付けないのが主流に。つまり、レコードは付加価値なしで真っ向勝負ができる商品になったということだ。

「日本ではまだCDのほうが売れています。それでもレコードの売り上げはすごい勢いで伸びていて、今後日本でもレコード盤を出すアーティストは増えていくだろうと思っています。売り上げがこれほど伸びた理由は、やはりデジタルのカウンターカルチャーという側面が大きいのではないでしょうか」(青木太一さん 以下同)

これまでレコード盤の製造は東洋化成が一手に引き受けていたが、ソニーが2017年に自社生産を開始。レコードを出すアーティストが増えれば、日本でもアメリカのように売り上げがCDを超える日が来るかもしれない。

◆海外からは、山下達郎、竹内まりやのアナログ盤を探しに来店

ちなみに『TOWER VINYL』の客層は30〜40代以上の男性、20代の男女、さらにSNSで存在を知った海外からの旅行客が多いという。

「40代以上の方は昔からレコードを知っていて懐かしさから購入されることが多く、若い方は、たとえば星野源のように裾野の広いファンを持つアーティストが出したレコードを通して、初めて触れるという人も。店頭に置かれたポータブルプレイヤーを一緒に購入される方も多いですが、本格的なステレオでCDとは違う音質を楽しむ人もいます」

レコード盤に針を落すときの緊張感。かすかに混ざる針音。そして丸みがあり、分厚い音質。アナログならではの「音の魅力」に取り憑かれた人たちが、また次の宝物を探しにやってくる。

「海外からの方たちには山下達郎、竹内まりや、杏里とか大貫妙子といった日本のシティポップが人気です。有名なDJが流して曲を知ったという人も多く、自国では手に入らないレコード盤を探しにきます」

配信、CD、そしてレコード。3タイプの音楽の購入方法がある中で、消費者はどのように使い分けているのだろうか。

「CDを買う方は配信も使っているという調査データもあり、音楽が好きな人はレコードも配信、CDも、全部使って楽しんでいるようです」

配信サービスだけだとアーティストとの“つながり”が希薄に感じられる、という意見も。そこには、モノとして持っておかないと気がすまないファン心理が垣間見える。

さらには好きなレコジャケを額装し、インテリアとして飾る人もいて、レコードの持つ存在感や特別感に、「このヴィジュアルがあってのアーティスト」といった気持ちになる人も多いようだ。

「大判の美しいジャケットやブックレット、歌詞カード、ボーナストラックなど、レコードはクリエーターが表現したい世界観を耳と目で共有できるのが魅力です。外ではスマホ、家ではレコードで楽しむという感覚でしょうか」


12/14(土) 11:02配信 FRIDAY 続きは↓で
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