https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191216/k10012216971000.html


「漫画村」の元運営者 初公判「私に責任はある」
2019年12月16日 17時18分


人気漫画をインターネット上に無断で掲載していたとして著作権法違反の罪に問われている、海賊版サイト「漫画村」の元運営者の初公判が開かれ、元運営者は「私に責任はあると思う」と述べ、起訴された内容を認めました。

海賊版サイト「漫画村」の元運営者、星野路実被告(28)は、おととし、人気漫画「ONE PIECE」と「キングダム」の画像データを漫画村で公開して誰でもダウンロードできるようにし、作者や、出版した「集英社」の権利を侵害したとして著作権法違反の罪に問われています。捜査段階では、黙秘を続けていました。

16日福岡地方裁判所で開かれた初公判で、星野被告は「漫画村にアップロードされた漫画について詳しくは知りませんが、私に責任はあると思います」と述べ、起訴された内容を認めました。

検察は、漫画村について、星野被告が安達亙被告(38)とともに、遅くとも3年前までに運営を開始したと説明しました。

そのうえで「サイトの更新作業は安達被告を通じて男女2人に依頼していた。漫画村とは別のサイトから漫画のデータをダウンロードして編集したうえで、違法にアップロードするなどしていた。作業をしていた2人には、月1回、報酬も支払っていた」などと具体的な状況を説明しました。
著作権侵害 被害額3200億円というデータも

「漫画村」に掲載されていた作品はおよそ5万点。

「コンテンツ海外流通促進機構」の推計では、漫画村によって著作権が侵害され、本来作者が得るはずだった収入の被害額は、およそ3200億円というデータもあります。

事件を受け、現状では音楽と映像だけとなっている違法なダウンロードの対象を、漫画などにも拡大しようと法律の改正が検討されましたが、政府は、国民の理解が十分に得られていないとして法案の提出を見送っています。

“海賊版サイトは500存在”

出版業界でつくる団体の「出版広報センター」が先月行った調査では、インターネットで漫画を無料で読める海賊版サイトは、およそ500存在しているということです。

漫画村の閉鎖後は、ユーチューブやツイッターなどを使った著作権の侵害が激増していて、出版広報センター・海賊版対策ワーキンググループの伊東敦座長は「こうした海賊版サイトは正規の売り上げに長年影響を与え続けているが、閉鎖しても次々と新たな手口で掲載されるいたちごっこが続き、対策が追いつかない状態だ」と話しています。