シベリアの永久凍土から見つかったケナガマンモスの全身冷凍保存標本。横浜の展示で(2013年7月12日撮影、資料写真)
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【AFP=時事】脊椎動物の正確な最長年齢の推定値を算出する「寿命時計」を考案したとする研究結果を、オーストラリアの研究チームが発表した。最長年齢の推定値は、現存する動物と絶滅した動物の両方の研究で重要な変数とされている。
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 英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、研究チームは寿命との関連が指摘されている「CpG部位」と呼ばれるDNAの特定の領域を同定し、動物の年齢データを蓄積した既存のデータベースに照らして分析した。
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 オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のベンジャミン・メイン(Benjamin Mayne)氏率いる研究チームは「252の全ゲノム(全遺伝情報)と動物年齢のデータベース、プロモーター配列(遺伝子を発現させる機能を持つ塩基配列)分析などを用いて、脊椎動物全体の傾向を明らかにした」と説明。さらに、脊椎動物の最高寿命を正確に予測する寿命予測時計を考案したと述べている。
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 研究チームは、今回の研究について「遺伝子マーカーから脊椎動物種の寿命を推定する遺伝的予測モデル」を構築した、この種のものとしては初の研究とみられると述べている。
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 研究の主要な目的は「ほとんど解明されていない絶滅種」を調べることだ。例えば、ケナガマンモス(学名:Mammuthus primigenius)の寿命は約60年だった可能性が高いことを、研究チームは証明した。それに対し、現代のアフリカゾウの寿命は65年とされる。
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■人類種への適用は?

 では人類種に対しては、この寿命時計をどのように適用できるのだろうか。
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 研究チームは、現生人類の近縁種にあたる二つの絶滅人類種、デニソワ(Denisovans)人とネアンデルタール(Neanderthal)人についても調査した。その結果、どちらの寿命も37.8年と推定された。これは現代のヒトの寿命の半分足らずだ。
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 だが、メイン氏は「寿命時計は個別の人間の寿命を判定するためには使用できない。今回の研究の目的は生態学的に意義のある重要なパラメーターを決めることであり、この情報は野生動物の管理の助けになる可能性がある」と強調した。
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 例えば、寿命時計をサメなどの海洋生物や絶滅の危機にある野生動物などの管理対象種に適用することが考えられる。「これらのケースでは、持続可能な捕獲量や個体群の生存能力などの判定において寿命が極めて重要な意味を持つ」と、研究チームは指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News

12/13(金) 11:42配信  時事 afp
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