北九州市の庶民の味「小倉焼うどん」発祥の店として知られる1945年創業の「だるま堂」(同市小倉北区)の2代目店主、坂田チヨノさんが6日、82歳で亡くなった。初代に当たる坂田さんの親戚が、戦後の食糧難に焼きそば麺の代用品として干しうどんを使ったのが小倉焼うどんの始まり。「だるま堂のおばちゃん」と親しまれた坂田さんが約60年守り続けてきた味は、今や小倉を代表する名物にまで育った。

 生前の坂田さんによると、だるま堂は戦後すぐ、バラックの飲食店などが並んだ「鳥町食道街」に開店。長崎県出身の坂田さんは60年ごろ、だるま堂を開いていた親戚を頼って夫と一緒に小倉へ。坂田さんは店を手伝いながら焼きうどんのレシピを覚えたという。間もなく店を継ぎ、「初代の味を守ってきた」と自負していた。

 だるま堂の小倉焼うどんは、ゆでた干しうどんに具材は豚肉とタマネギ、同市若松区産キャベツを使用。ソースと魚粉だけのシンプルな味わいだ。近年は焼うどん(税込み460円)と焼うどんに卵をのせた「天まど」(同560円)などにメニューを絞っていた。

 「最近は海の向こうからもお客が来る。真心込めて焼いている。みんながおいしかったと言ってくれりゃ一番うれしいよ」と喜んでいた坂田さんは、9月に体調を崩して店を閉めていた。約10年前に夫が死去し、息子は別の仕事に就いている。坂田さんは昨年、「死ぬまで店を続ける」と意欲をみせていた。

 焼きうどんで町おこしに取り組む市民団体「小倉焼うどん研究所」の竹中康二所長は「地域に愛された名物おばちゃんの坂田さんが亡くなり寂しい。北九州の財産である発祥の店を守る方法を考えたい」と話した。 (内田完爾)

2019年12月16日 21時1分
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