☆ 姑への腹立ち紛れに犬の腹を蹴る

◆ 韓国の本音「米国のせいで日本と断絶できない」

日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、文在寅政権は失効直前に破棄通告を撤回した。
作家の佐藤優氏は「韓国人には、日本がアメリカを巻き込んで文在寅政権をねじ伏せたように見える。

日本への恨みの感情が蓄積されるだろう」と指摘する。
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏との対談をお届けする――。

■声明文に滲み出る無念の思い

【佐藤】GSOMIAが失効する秒読みの段階にあった11月22日になって、なぜ、文在寅政権が「いつでも協定の効力を失効させることができるという前提のもと、終了通知の効力を停止させる」という、実にまどろっこしい表現で、協定の破棄通告を延期したのか、その背景を検証してみたいと思います。

【手嶋】文在寅大統領の無念の思いがこの声明文に滲(にじ)み出ています。本当は破棄したかったのだが、トランプ政権の圧力を前に妥協せざるをえなかった――と。その一方で、韓国内では「協定を破棄すべきだ」という声は、世論調査では半ばに達していましたから、手ぶらでアメリカの求めに応じるわけにはいきませんでした。 

【佐藤】文在寅政権は「日本が実施している韓国への輸出規制の強化を巡って、局長級協議を行う」と発表し、こうした協議が行われている間は、WTOへの提訴手続きを停止することを明らかにしました。文在寅政権は、協定破棄を撤回するには、日本が韓国への輸出規制を撤廃するよう求めていたのですが、安倍政権は断じて応じられないとしていました。そのため、日韓が輸出規制を巡って協議することで折り合ったわけです。

もっとも日韓それぞれの折り合いの程度はだいぶ異なります。
韓国は、GSOMIAの失効を停止するという決定的な譲歩をしています。

これに対し日本は、GSOMIAとはまったくリンクさせない形で韓国がWTOへの提訴手続きを停止したからそれに対応して対話を行うとしています。
つまり、GSOMIAとリンケージさせていない

■トランプ政権のすべてを動員して日韓を説得

【手嶋】日韓が直に協議したのではない。トランプ政権が日韓双方に諮りながら取りまとめたのでした。アメリカは「仲裁役」ではなく、東アジアの「日米韓の三角同盟」の当事者として、GSOMIAの維持に動いたのです。トランプ政権の殺し文句は「協定を破棄すれば、中国や北朝鮮を利するだけだ」。エスパー国防長官、スティルウェル国務次官補などトランプ政権のすべてが動員されて、日韓の説得にあたりました。GSOMIAが単に機密情報の交換協定でなく、日米安保、日韓安保を補完する重要な役割を果たしていることが窺えます。

【佐藤】アメリカがここまで協定維持に真剣になったから、韓国としては譲歩する以外に選択肢がなかったのです。

文在寅大統領も、米韓同盟を事実上破棄する覚悟があれば別ですが。
交渉の最終局面では、どうやって面子(メンツ)を保つかが焦点でした。

安倍政権が輸出規制を巡る「対話」には応じてもいいと軟化したため、これが落としどころとなりました。
安倍政権としては「対話」をするだけですから、僅(わず)かに譲ったにすぎません。

■日本が文在寅政権をねじ伏せたように見える構造

【手嶋】北朝鮮と中国の脅威を挙げて、当面は協定をなんとか維持したのですから、今後の対北交渉には少なからぬ影響を与えることになりそうです。トランプ大統領が、北の独裁者と恋に落ちて、米朝首脳会談を実現しながら、北朝鮮の非核化は少しも実現しないどころか、新鋭のミサイル開発・実験はどんどん進んでいます。米朝対話の推進役だったトランプ大統領とポンペオ国務長官が、協定維持の前面に姿を見せなかったのは、米朝対話の負の側面を物語っていると思います。

【佐藤】重要な指摘です。トランプ大統領とポンペオ国務長官がどこまで真剣にGSOMIAを維持しようとしていたのかがわからない。ただし、ペンタゴン(国防総省)と国務省の安全保障の専門家たちはこの協定をなんとしても維持しなくてはアメリカの国益が毀損(きそん)されると考えたことは間違いないと思います。 表面上、GSOMIAをめぐる危機は回避されたように見えますが、構造的には事態はいっそう深刻化していると思います。韓国人には今回の事態は日本がアメリカをうまく巻き込んで文在寅政権を力でねじ伏せたように見える。その結果、日本に対する韓国人の恨みの感情がいっそう蓄積されることになったと思います。

☆続きはソースでご覧ください
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191219-00031300-president-pol