12月18日、「労働生産性の国際比較」の2019年版が発表されました。
日本の労働生産性は、「1人当り」と「時間当たり」共に先進7カ国中の最下位という状態が20年以上続いています。
この「国際比較」の結果をどう見ればいいのかは、昨年「日本の生産性は先進7カ国で最下位!」に惑わされないために知っておきたいことという記事で詳しく解説しました。
上の記事では
・ランキング結果だけを見て一喜一憂しても意味がない(「労働生産性」の算出方法や各国のビジネス環境の違いなどの理解が必要)
・「効率よく働けば生産性ランキング上位国になれる」と考えるのは間違い
ということを伝えた上で、私たちの生活を豊かにしていくには、産業別、企業別、部署別、そして個人の人生といったより小さな単位での「生産性」に注目し、改善を続けていくことが重要だと訴えました。
この点を踏まえつつ、今年の「国際比較」の結果から、注目すべきポイントをいくつか紹介したいと思います。


(中略)


日本の人手不足と労働生産性の関係

日本の状況を見てみると、1人当りの労働生産性は前年を0.2%下回りました。データを集計した日本生産性本部は、「経済成長は比較的堅調だったものの、それ以上に人手不足と認識する企業が雇用を拡大させたことが生産性に影響したものと考えられる」と分析しています。
また、時間当たり労働生産性の方は2017年と比べて1.5%上昇していますが、他国との差は縮まっていません。これも、企業が人手不足で雇用を拡大させた結果、現時点では未熟練者が多くて業務効率が低いということかもしれません。
単に人を増やしただけでは、企業の業績アップにはつながらないのです。個々の職場の単位では、採用した人をきちんと育てて業績に貢献してくれる人材にすることや、今いる人材でできることを増やしていくための業務の効率化などが、今後の課題となるでしょう。

日本では、サービス産業の生産性向上が重要

ところで、「労働生産性の国際比較 2019」レポートでは、「製造業の比重が比較的大きく、産業構造が近い」ということでドイツに注目しています。上の図を見ても分かる通り、先進7カ国の中でもドイツは時間当たり生産性がアメリカに次いで高いのです。
レポートには、ドイツは年間平均労働時間が1,363時間(2018年)と短く、「無駄なことを極力省いて効率的に仕事を進める意識が徹底されている」ことが労働生産性の高さにつながっているとあります。
これは確かに見習うべきことではあります。しかし、次のグラフを見ても分かる通り、日本で就業している人の過半数が第三次産業で働いている現状では、製造業以上にサービス産業に注目し、その生産性の向上を考えるべきではないかと思います。

サービス産業については、日本はアメリカのの半分程度の水準であるという分析が昨年発表されました(参考:産業別労働生産性水準(2015 年)の国際比較)。特に、卸売・小売、宿泊・飲食、運輸・郵便の分野での差が大きく、改善の余地が大きいということが指摘されています。
最近では、スーパーやコンビニのセルフレジの導入や、24時間営業の見直し、飲食・小売チェーンの正月休業の動きなどが目立ちます。それが「実験」に終わることなく、機械化、無駄な営業や業務の見直しなどが進められ、サービス産業で働く人たちに利益が還元されていくことを期待します。

全文はソースで
12/20(金) 11:36
https://news.yahoo.co.jp/byline/yatsuzukaeri/20191220-00155674/