19歳のほぼ最年少でGoogleに採用されて2年。

Chromeセキュリティ部門で優秀な成績を収めて昇進したKathryn Spiersさんが13日、強制解雇されました。

理由はわかりません。心当たりがあることと言っても、サンクスギビング前に解雇された4人と同じく、社内の非正規雇用(過半数を占める)の人たちの平等な扱いを求めている正社員ということぐらいです。

コード数行が会社の逆鱗に触れる

Chromeで社員向けの社規の通知を担当していたSpiersさんは、Googleが組合潰しのコンサル会社を雇ったという話、デモした社員が立て続けに解雇された話、社員に抗議されて会社が渋々社員の権利をまとめた一覧を公開した話を聞き、日常業務の一環で、組合潰しのコンサル会社IRIと社規に社員がアクセスすると「Google社員にはデモする正当な権利があります」と通知が表示されるコードを数行書いたんです。そしたら即解雇されてしまったんですってよ? ナンデ!?!?

度重なる尋問

社規に違反した覚えもないままに、社内調査目的で3回尋問され、1回のミーティングの後に解雇の最終通告が届いた、と米Gizmodoにシェアしてくれた事実関係のメモにはあります。解雇理由は、Googleの倫理規定、ネットワーキング規則、セキュリティ方針の違反。でも、国際調査部門を率いるStephen C. Kingディレクター立ち会いのもと開かれたミーティングでは、どういう行為がどこの何に違反するのか、具体的な説明は一切得られませんでした。

感謝祭の連休前に解雇された通称「サンクスビギング・フォー」の4人と同様、Spiersさんもアメリカ通信労組(CWA)の支援を得ながら、不当解雇の訴えを全米労働関係委員会(NLRB)に起こしました。度重なる尋問と解雇通告は「社内で抗議活動を起こす、法的に保証された権利の行使を侵害するものだ」としています。

尋問の圧を増すためか、Google法務部のElizabeth Karnesさんもいて、何度も何度も通知が規則違反で自分に非があると認めるよう迫る、相当ビビる取り調べったようです。本来ならSpiersさん側も弁護士を呼べるはずなのに、それさえも許されない非合法的な尋問だったとThe Mediumに書いていますよ。

サンクスギビング・フォーの1人、Laurence Berlandに取材したときには、法務部の人は尋問に立ち会っていなかったと言っていたので、全員が同じではないのかもしれませんけどね。

通知の何が問題なの?

Spiersさんが書いた通知のポップアップには、本社内に法的に掲示が義務付けられているNLRB通告の抜粋(下記)もリンクされていました。


「自分や他の社員の賃金、勤務時間、雇用条件に関する問題や苦情を述べる正当な権利を行使したことを理由に、懲戒、処罰、書面の最終通告はいたしません」

これはGoogleが9月にNLRBとの和解に応じ、社員の権利一覧と一緒に掲示しなければならないものなので、こんな風に抜粋しても何ら違法性はありません。

さらに、法務部門トップのKent Walkerさんに社員が文書を開封するたびにメールで通知が届く「Always Ask Kent」というツールの作成にも関わっていました。このWalkerさんはちょっとした失言(「21世紀の大企業は全社員が全文書にアクセスできるのがムリある、もっと管理すべき」)で社員から総攻撃を受けた人。頭に来た社員たちが、「そんなに管理したいなら全社員、全ファイル、全通知にしてやる」と考えてこしらえた、まあ、当てつけのコードです。Googlerってこんな風に喧嘩するのね…。

コードを書いて3時間で自宅謹慎に…

いずれのケースも、しかるべき手続きを踏んで承認を得ていたとSpiersさんは言います。通知機能はオーナー権限があるので、別に事前承認とか要らないのだけど。

それなのにコード公開後3時間で自宅謹慎を通告され、社内文書には一切アクセスできなくなってしまったんです。法規もアクセスできないので、社内調査の尋問では圧倒的に不利に働きます。


「『世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする』 という社のミッションに完全に沿う行為だった。コード更新は日常業務であり、業務面では何の不備もなく会社に貢献してきた。Googleが声を挙げる社員を解雇するのは、社員の総意に耳を傾けるのが怖いからだ」

…とSpiersさん。

2019.12.20 12:00 gizmodo 全文はソース元で
https://www.gizmodo.jp/2019/12/google-war.html