工業製品の製造や研究開発に幅広く使われている「ヘリウム」の供給量が減って価格が高騰しているとして、40余りの学会などの組織が連名で緊急の声明を発表し、国などに対しヘリウムの再利用や備蓄の拡大を求めました。

緊急の声明は、日本物理学会や日本化学会の会長などが都内で会見を開き、発表しました。

はじめに関係者が、半導体の製造や医療用の機器のほか、研究開発の現場など幅広く使われているヘリウムの供給量が減って価格が高騰し、規模の小さな研究機関では研究ができないところもあると説明しました。

そのうえで、関係する学会や研究機関など合わせて47の組織が連名で、国や産業界に対し、ヘリウムをリサイクルする設備や環境を早急に整えることや、ヘリウムの備蓄の拡大などを求めています。

ヘリウムは化学的に安定していて、低温に保つ時に幅広く使われていますが、すべて輸入に頼っていて、世界の生産量のおよそ6割を占めるアメリカが輸出を減らしていることなどから価格が高騰していて、この状況が続けば産業界や医療の現場にも影響がでることが懸念されるとしています。

日本物理学会の永江知文会長は「研究者や産業界の切実な声を受けて声明を出すことになった。国を含めて多くの方に協力を呼びかけていきたい」と話していました。

NHKニュース 2019年12月20日 19時21分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012223201000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/K10012223201_1912201834_1912201921_01_02.jpg