風船や病院のMRI(磁気共鳴画像装置)などに欠かせない「ヘリウムガス」が世界的な供給不足に陥っている。

 大半を産出する米国が自国での消費を優先したこともあり、価格が高騰して日本への輸入が激減。ヘリウムを使う極低温などの研究にも影響が出始めた。日本物理学会などは20日、ヘリウムのリサイクルや備蓄で産官学が協力するよう求める緊急声明を発表した。

 東京ディズニーランド(千葉県浦安市)の売り場で10月末、キャラクターをかたどった風船が消えた。風船を浮かすためのヘリウムの在庫がなくなったからだ。運営するオリエンタルランドの広報担当者は「毎月入手できた分だけ販売しており、(底をつくと)月に数日間、風船の販売を中止している」と語った。

 ヘリウムの卸業者「夢ふうせん」(東京都江東区)によると、入荷量は今年になって減り始め、特にここ数カ月は以前の3〜4割に減った。今は入荷すればすぐ売れる「取り合い状態」で、常連客にも断らざるを得なくなっているという。

2019年12月21日 12時0分
朝日新聞デジタル
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