https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012222771000.html


“命を奪う溝”をなくして!遺族の声が国を動かす
2019年12月20日 19時08分

「夫の死はむだにはならなかった」。用水路の事故で家族3人を亡くした遺族は私たちの取材に涙ながらにこう語りました。全国の住宅地などにある用水路や側溝で去年1年間に少なくとも2000人以上が死傷しています。こうした実態を受け、国は都道府県が行う用水路事故の対策費用を全額補助する事業を来年度から始めることになりました。「落ちたほうが悪い」と言われることさえもあった用水路事故。対策に向けた大きな一歩となりました。(用水路事故取材班/富山局記者 佐伯麻里・中谷圭佑)

“用水路で人が亡くなるのは日常茶飯事”


私たちが用水路事故の取材を始めたのは3年前。当時は、“用水路事故”ということばもあまり知られていないと感じました。1か月に何人もの方が用水路で亡くなっていましたが、警察や行政の関係者からは「用水路で人が亡くなるのなんて日常茶飯事だろう。なぜ取材しているのか」と言われることも多くありました。

しかし、これだけ多くの人が亡くなっている事故の原因を突き止めたいと富山県内で起きたすべての死亡事故の現場に足を運びました。専門家に協力を依頼し、事故を分析すると、幅が狭い用水路でも死亡事故が起きていること、死者の多くを高齢者が占めている一方、幼い子どもも命を落としていることが分かってきました。

一見危険には見えない幅が狭い用水路では、転落すると体が水をせき止め、溺れて亡くなってしまったり、転倒した際に水を飲み込んでパニックになり抜け出すことができなくなったりします。また、高齢者や幼い子どもはふんばる力が弱く、流れが速い用水路では長い距離を流されて亡くなってしまうことも分かりました。

対策なぜ進まない?
(リンク先に続きあり)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/K10012222771_1912201556_1912201638_01_02.jpg