https://www.newsweekjapan.jp/woman/assets_c/2019/12/191223-nww-xmas-top-thumb-720xauto-178767.jpg

<心踊るシーズンに突入したが、浮き足立ってはいられない。イルミネーションは、時としてご近所トラブルの原因になる可能性が...>

スイスでは「電飾ブーム」で訴訟まで

ヨーロッパでは、クリスマスは年明けよりも断然盛り上がる。クリスマスの飾り付け、プレゼントの準備、お菓子を手作り、職場でパーティー、学校や教会での劇やコンサートなど楽しいながら、ある種の緊張感も漂う。最もクリスマスらしさを感じさせるのは、ツリーや電飾だろう。スイスでは、その電飾が目に見えて増えてきた。

筆者の夫(スイス人)は、「アメリカ化している。前は、これほど、きらびやかではなかった」と冷ややかな目で見ている。とてもスイスらしい風光明媚な村に長年住む筆者の日本人の友人も「都市部もそうだけれど、この(田舎の)辺りでも、少し異様なくらいに派手な電飾をつけるようになっている」と話す。

繁華街の飾り付けはそれでも理解できるが、個人宅(外壁や窓や庭)を電飾で照らす人たちも多い。数年前、電飾の売れが大きく伸びていて「個人宅のクリスマス電飾ブーム」という報道があったが、派手な電飾の家は、そのゴージャスさを一目見ようと人が来たり取材を受けたりして喜ぶ家主もいる。隣家の電飾があまりに明るいため、訴訟を起こした人さえいる。  

【参考記事】雪道もノープロブレム! ハイジの村発「ベビーカー用ミニスキー」

6週間はキラキラOK。エネルギー消費は?
寝室に明かりが差して眠りを妨げるなど、隣家の電飾が迷惑なときは、まず話し合うことだという。

ただし、スイスの法では、クリスマスイブの約4週間前と2週間後の計6週間は、電飾は多くの人にとって祝賀の伝統として好意的に受け入れられているため、家庭の電飾には深夜1時までは寛容でいなくてはならないと定めている。

この6週間、明るめの夜の中で生活していると、気になるのが電気消費だ。相当な消費量になるのではと想像するが、スイスエネルギー効率エージェント(S.A.F.E.)によると、LEDの電飾が普及しているおかげで、クリスマスの電飾は12月の電気使用量の2%程度だという。(消費者雑誌「ベオバハター」より) 

また、クリスマスの電飾は光害だと思う人も少なくないだろう。これについても、同誌では、個人宅の電飾は、繁華街の大掛かりな電飾に比べれば、深刻な影響はないと述べている。

ドイツでは、抑制したい気持ちはあるが
隣国ドイツでも、この時期に電飾を飾る人はやはり多い。12月初旬に発表されたドイツ最大の通信社DPAが委託した調査によると、今年、家にクリスマスの電飾を飾る予定の人は67%で、飾る場所は室内49%、窓33%、庭17%、玄関5%という結果だった。

そんな中、環境を考慮して、電飾を減らそうという意識が広まっている。回答者の57%が今年または将来、電飾を減らしたり、もう飾らないようにしたいと答えた。一方、35%は、環境を考慮して電飾をあきらめることなど考えられないと答えた。

しかし、電気消費を考慮して電飾を減らすかどうかという質問に対しては、44%が減らすべき、44%が減らさなくてよい、11%が無回答だった。

クリスマスの電飾は環境にはあまりよくないとは思いつつも、すぐに大幅に減らすのは、なかなか簡単ではないのだろう。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/12/post-309_1.php
2019年12月23日(月)17時50分