政治家に失言はつきもので、正しく向き合えば“戒めの鏡”にもなり得る。ただし、大切なのは失言や過ちを犯した後の対応だ。謙虚に反省して国民に謝罪し、政治と行政を正道に戻す。誤解を受けているなら丁寧な説明でそれを解く。そうした姿勢があれば、国民の信頼をつなぎとめることができるはずだ。


 だが、この国の政治家は過ちを反省しないまま「言い逃れ」に走り、チェックすべきメディアがそれを許し、国民は“政治家はそんなもの”と諦めつつある。
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◆小泉環境相「日本は海外に『フロン賞』をあげてもいい」
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 鳴り物入りで入閣した小泉進次郎・環境相は“舌禍”と釈明続きだ。就任早々に国連総会(9月)で「気候変動問題にセクシーに取り組む」と演説し、意味不明だと説明を求められると、「説明すること自体がセクシーじゃない」と反論。
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 ニューヨーク滞在中にステーキハウスに行ったことが、牛肉の大量消費は地球温暖化を加速させると批判される。これには、
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「ステーキを食べて怒られた話から、子供たちに畜産の課題を語りたい。偽善的に『ステーキを食べるのはやめる』と言わなくてよかった」(11月17日)
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 さらに12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)では、日本の石炭火力発電所新設が「石炭中毒」と批判を浴び、地球温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」を受賞してしまった。
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「日本は海外に『フロン賞』をあげてもいい。100か国以上が日本が既にやっているフロン対策をやっていない」(12月17日)
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 この政治家の得意技は論点のすり替えである。
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◆二階幹事長「3日も4日も前の話を」、河野防衛相「隊員の処遇改善のため」
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 災害など非常時は政治家の出番だが、そんなときに限って失言が生まれやすい。
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 首都圏を縦断した台風19号の後、二階俊博・幹事長は「まずまずに収まったという感じだ」と発言。記者団の取材(10月17日)でしつこく質問されると、ついに「3日も4日も前の話をまたここで引っ張りだしてきてとやかく言ったってしょうがない」とキレた。
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 この台風では河野太郎・防衛相もやらかした。
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「私はよく地元で“雨男”と言われました。私が防衛大臣になってからすでに台風が3つ」と政治資金パーティで語って不謹慎と批判を浴びると、国会(10月29日)で弁明した。
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「災害派遣に出動中の隊員の処遇をしっかり改善していかないといけないという趣旨だった」
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 復旧活動にあたる隊員にとっては大臣を「雨男」から“晴れ男”に改善してほしいのでは。
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※週刊ポスト2020年1月3・10日号


12/24(火) 7:00配信
NEWSポストセブン
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