美容医療の消費者トラブルが止まらない。

全国の消費生活センターには医療脱毛や脂肪吸引、二重まぶた手術など美容医療に関する相談が毎年2000件前後で寄せられている。

あまりのひどさに消費者行政の監視役として2009年に創設された内閣府の消費者委員会は過去に2度、厚生労働大臣に改善策を求める建議を出しているが効果は上がっていないようだ。

国民生活センターも一向に減らない美容医療の消費者トラブルを受けて、たびたび情報を出しているが、2019年11月21日に、男性の美容医療サービスに関する問題点をまとめ、トラブル防止へ向けて消費者に注意喚起、同時に日本美容医療協会や日本美容外科学会などに改善策を要望した。

年間約2000件の相談のうち、その2割、約400件が男性からの相談だという。

包茎手術、薄毛治療など男性特有の施術苦情で、「無料診断のつもりで行ったら、不安をあおられ、即日施術された」「広告記載の数万円で施術ができると思っていたら次々に追加の施術を勧められ百万円の高額施術代金になった」など、勧誘方法や施術代金に納得がいかないという事例が目立つ。

男性の契約金額は女性に比べて高額でクレカを利用

全国の消費生活センターに寄せられた美容医療サービスに関する今年10月末日までの5年半の相談件数は約1万1500件もある。医療脱毛・痩身・豊胸手術などを中心に女性が多い。男性の相談件数は女性の4分の1だが、包茎手術や薄毛治療、ひげの医療脱毛を中心にこの5年半で2000件を超える相談が寄せられている。年代は男女とも20歳代が1番多い。

男女の違いで特徴的なのは契約金額だ。男性の契約購入金額は「100万円以上300万円未満」が約32%で1番多い。「10万円以上50万円未満」は約30%だ。一方、女性で1番多いのは「10万円以上50万円未満」だ。

契約購入金額が高額となる傾向がある男性向け美容医療サービスは、クレジット契約を利用するケースが多い。支払い方法を見てみると、女性は現金一括払いや銀行振込などの即時払いとするケースが全体の約40%。クレジットや提携ローンなどのケースは約30%だ。一方の男性はクレジット等で支払いするケースが約45%と最も多くなっている。即時払いのケースは約30%だ。

相談事例を見てみよう(国民生活センターの報道発表資料の相談事例から筆者が抜粋・要約)。

相談1:包茎手術が7万円でできると思ったが、不安をあおられてオプションを付加され、約100万円を超える手術費が掛かってしまった(20代 男性)

インターネット広告を見て、7万円で受けられると思い、無料カウンセリングを受けるつもりでクリニックに出向いた。その際、医師から「今日施術しないと、子どもができづらくなる。広告の施術だと、手術痕が目立ったり、術後にひどい腫れ等が出るおそれがある」などと言われ、さまざまな美容形成治療のオプションを付加された契約を勧められた。

当日に契約するつもりはなく、家で考えたいと伝え、勧誘を断って帰ろうとしたが、過去に別のクリニックで治療した人の失敗例の写真を見せられ「写真のようにはなりたくないでしょ」「追加したオプションはすべて必要なもので、削ることはできない」「今日、手術をしないと後の事は知りませんから」などと不安をあおられ、即日施術を勧められた。

執拗な勧誘が続き頭が真っ白になり、手術承諾書にサインしその日のうちに手術をされた。頭金約10万円を当日支払い、残額は医療ローンで分割手数料約50万円を含んだ、合計約130万円を支払うことになった。クリニックに焦らされて、正常な判断ができないままに高額な契約をしてしまったので、施術代金を減額してほしい。

十分な説明なく薄毛治療されたケースも

全文はソース元で
2019/12/25 5:50
東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/amp/320907