着手からわずか1週間ほどで

12月25日、東京地検特捜部は秋元司衆院議員を収賄の疑いで逮捕した。
IR(カジノを含む統合型リゾート施設)への参入を目指していた企業に便宜を図った見返りに、現金300万円などの賄賂を受け取るなどしていたというものだ。
賄賂を贈っていたのは、中国・深圳でスポーツくじなどを展開する「500ドットコム」。同社の顧問らも贈賄の容疑で逮捕されている。
今回の逮捕に際して地検関係者は、こう語った。
「スポーツくじ? それもやっているが、彼らが力を入れているのはインターネットカジノ。だから日本進出を狙って、IRを担当する国交省の副大臣や内閣府の副大臣を務めていた秋元を取り込んだ次第だ。秋元を、格好の対象と見たのだろう」

特捜部が事件に着手してから、わずか1週間ほどでの逮捕という急展開だったことについても、「当然こうなるとみていた」と漏らし、舞台裏を解説した。
「裁判所が休みに入る年末にはやらない、という慣例を破って捜査に踏み切ったのは、国会が閉まるのを待っていたからだ。とすれば、年明けに通常国会が開かれる前までには決着をつけるつもりだったはずで、遅くとも年内には逮捕しなければならなかった。だから、今回の運びに違和感はない」

こうなることは、政治への配慮からすれば当然であり、予想できたというのだ。しかし、つい数日前までは、関係者の反応は違っていた。

「まさかこの件で行くとは思わなかった」
特捜部が外為法違反(外国為替及び外国貿易法)違反の容疑で捜査に着手し、秋元氏の事務所等に家宅捜索に入った12月19日、同関係者はそんな感想を述べていた。
というのも、秋元氏に関しては、今年に入って数々の疑惑が指摘されていたからだ。

「Xデー」は噂されていたが…

最初は今年2月。化学企業大手・東レをめぐる弁護士法違反の容疑で、警視庁が捜査を開始した。秋元氏は、東レが債務保証をした借入金の支払いを催促するため、融資企業の依頼を受けて東レに電話を入れていたのだ。この「取り立て行為」が弁護士法に違反していると警視庁はみたわけである。
そして7月。企業主導型保育事業向けの助成金の口利き疑惑について、東京地検特捜部が動いた。同月3日、特捜部は企業主導型保育所「KIDSLAND」をチェーン展開するかたわら、同業者に対して助成金受給のあっせんも行っていたとされる、「WINカンパニー」社長の塩田大介(川ア大資に改名)氏らの逮捕に踏み切った。
助成金交付決定の書類を偽造し、信用金庫から企業主導型保育所整備の名目で約1億990万円を融資させ、だまし取ったという詐欺の容疑であったが、実はこの事件は、秋元議員の口利き疑惑解明への入り口とみられていた。
両事件とも証拠や証言がそろっていたため、立件はいつかという点に関心が絞られたものの、Xデーはなかなか来なかった。そうしたなかで今回、新たに降ってわいた容疑での逮捕だっただけに、地検関係者にとっても意外だったようだ。

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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69470