2020年で筆者の業界経験値の蓄積は50年になる。取り柄といえば、この経験値くらいしかないので、今後も日本最年長のマーケットアナリストを目指して精進したいと思っている。好きなことを好きなだけやらせてもらっていることへの感謝と共に。

50年の経験でつくづく感じるのは、大勢観で動いてはならないということだ。大勢意見はそれが正しければ正しいほど、外れる。なぜなら投資家はその正しい大勢観を評価し、事前に対処するからだ。「明日上がる」と分かったら投資家は皆、今日買って明日売ろうとする。

しかし明日誰が買ってくれるのだろうか。大勢観の基になる優れたエコノミストを否定するわけではない。優れた分析があるからこそ大勢観になるのであって、筆者は優れたエコノミストを心から尊敬している。つまり、どんな良い情報でもそれを生かすも殺すもこちら側の問題、ということなのだ。

■2020年相場の特徴とは?

さて2020年相場の特徴を筆者なりに6つ挙げる。

@ 財政出動により世界的金余りはますます進む
A アメリカのドナルド・トランプ大統領の事情(支持率50%以下での再選は戦後ない。景気テコ入れの手は抜けない)。
B 日本の事情( 2021年が任期のアベノミクスのタイムリミットは事実上2020年)。
C 空売りが溜まる(米中対立で混迷する世界景気の不透明感で強気にはなれない)。
D アメリカ株よりも日本株。
E 日本株のブームが来る

このうち@〜Cは説明する必要もないだろう。Dについては前回の「2020年は日経平均が大きく上昇すると読む理由」でも十分解説した。今回はEの解説をしよう。

その前に、2020年前半までの筆者の予想は大発会2万4000円、年前半の高値は2万7000円である。予想アンケートの大勢観は2万5000円(2019年12月24日の日経新聞)だが、高値の2万5000円は、2万4000円からわずか4%高だ。

大きな下落リスクのある中で、半年で4%高を狙うのだろうか?これでは大勢観は「売り指示」としか見えない。それどころか、筆者の2万7000円でもわずか12.5%で、大勢観と大して違わない。まったく面白くない!

■「トータルインデックス」で考えてみる

そこで大勢観とは明らかに違うのがEの「日本株のブームが来る」だ。読者の皆さんは「日経トータルリターンインデックス」という指標をご存知だろうか。

※中略

株式市場から生み出される莫大なリターンが、今若い女性層に見直されつつある。最近盛んになっている女性向けを中心とした投資教室の報道がある通りで、講演会での筆者も同様な感じを受ける。

「株って面白い。しっかり勉強すればそれほどリスクのあるものではなく、大きなリターンを生み出すものだ」というブームが来るというのが、ストラテジストやエコノミストがまだ予想していない「大勢観ではない相場観」だ。

今回は筆者独自の相場観を披露したが、年配者の特権で、干支(えと)で2020年相場を見てみよう。干支(えと)は、十干(じっかん)と十二支を組み合わせたもので、同じ組み合わせは60年に1度しか来ない。

十干(じっかん)とは甲(こう・きのえ)・乙(おつ・きのと)・丙(へい・ひのえ)・丁(てい・ひのと)・戊(ぼ・つちのえ)・己(き・つちのと)・庚(こう・かのえ)・辛(しん・かのと)・壬(じん・みずのえ)・癸(き・みずのと)でそれぞれ意味を持つ。十二支はご承知の通りだ。

2020年は干支(えと)で言うと、庚子(かのえ・ね)。庚(こう・かのえ)は更新の更(あらたまる)で、時代の変わり目を現わす。

以下ソース先で

2019年12月30日 7時0分
東洋経済オンライン
https://news.livedoor.com/article/detail/17599193/
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/8/a/8af76_1635_77c942943b0033c924d6fccb438214db.jpg

平野 憲一(ひらの けんいち)

ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト
日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。