2019/12/31 12:24
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191231-00050083-yom-soci

今年夏に初めて運行されたJR宗谷線の観光列車を撮影するため線路に侵入したとして、
北海道警美深署が都内の20歳代の男子大学生を鉄道営業法違反(鉄道地内立ち入り)容疑で
名寄区検に書類送検していたことが、捜査関係者への取材でわかった。
北海道内では今年、鉄道写真の愛好家、いわゆる「撮り鉄」の摘発が急増した。
背景には、特別な列車の運行のほか、JR北海道で相次ぐ「線区廃止」もあるようだ。

捜査関係者によると、学生は今年9月、同線「南美深駅」(美深町)近くの踏切で、下りていた遮断機を越えて線路内に侵入した疑い。
観光列車「風っこそうや」を線路内で撮影しようとしていた学生を、巡回中の署員が見つけた。
学生は「いいアングルで撮りたかった」と容疑を認め、同署は10月、書類送検した。
風っこそうやは、今年7〜9月、稚内―音威子府間や旭川―音威子府間で季節運行された。
JR東日本が東北地方で走らせる「びゅうコースター風っこ」の車両を使った4両編成。
窓ガラスを外して走行する開放的なデザインが、鉄道ファンから高い人気を集めた。
道警が今年、同容疑で書類送検した事件は、この学生のケースを含む5件(8人摘発、27日現在)。
違法行為に及ぶ撮り鉄の摘発件数は、昨年の1件から急増した。
今年3月限りで廃止されたJR石勝線夕張支線でも、男が列車を撮影しようと線路内に立ち入った。

撮り鉄による迷惑行為で列車が遅れたケースもある。
JR北海道によると、今年11月30日夜、月形町のJR札沼線「豊ヶ岡駅」でもカメラを持った男性が線路内に立ち入った。
車掌が注意したが、男性はしばらく線路内に居座り、列車に約1時間40分の遅れが生じた。
同駅は、2020年5月で廃止される札沼線の区間内にあり、撮り鉄からの人気は高い。
廃止区間にある月形町内の陸橋では数年前から、落下防止用フェンスの金網の5、6か所に穴が開いている。
岩見沢署は、悪質な撮り鉄が通過列車を撮影しやすいように切断したとみている。

摘発急増の背景について、北海道警幹部の一人は「道内では線区の廃止が相次いでいる。
道外から撮影に来た鉄道ファンが、『二度と撮れないかも』と強引に撮影するケースが増えているのではないか」と推測した。
こうした事態を受け、JR北は、撮り鉄の人気が高い撮影スポットの駅や近くの踏切に警備員を出し、警戒を強化している。
同社広報部は「赤字路線を応援してくれる鉄道ファンの存在はありがたいが、マナーは守ってほしい」としている。

札沼線の車両(中央奥)を撮影しようと、悪質な「撮り鉄」が穴を開けたとみられる陸橋の金網
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