レバノンの首都ベイルートでは30日夜にカルロス・ゴーン被告が日本を出国したと伝えられた。31日朝には「英雄」(地元住民)の帰国を歓迎する声が相次いだ。一方、高級住宅街にあるゴーン被告の自宅はひっそりと静まり返り、警備員は「何も話せない」と口をつぐんだ。

高級住宅街の中でも被告の自宅はひときわ大きく、目を引く。小雨の中、各国のメディア関係者が続々と集まりカメラを構えた。インターホンに反応はなく、自宅前に立っていた男性警備員に被告の所在を尋ねると「何も知らない。知っていたとしても話せない」と言葉少な。

「天才。コンピューターのような頭脳を持っている」。ゴーン被告の自宅近くで理髪店を営むトニー・ハジャールさん(66)は経営者としての手腕を称賛した。日本で逮捕されてから「ひどい暮らし」を強いられていたと憤り「日本での裁判はフェアじゃない」とまくし立てた。ゴーン被告とは、顔を合わせれば気さくにあいさつを交わしていたという。

近所で菓子店を営むイリヤ・スマーハさん(45)は31日朝のニュースで被告の入国を知り、安心したという。「有罪か無罪かはまだ決まっていない」とし、日本で一方的に決められるべきではないと話した。(共同)

2019年12月31日19時50分 日刊スポーツ
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